2012年10月12日

西安市デモの重傷者が公安相手に訴訟

 当ブログでは触れてきませんでしたが、9月に中国各都市で発生した「反日デモ」で、最初の重傷者となったのが、9月15日に西安で起きたデモの参加者に暴行を受けたカローラのオーナー、李建利でした。

 2005年の反日デモも同様の事件がありましたが、車をボコボコにされてオーナーの女性が泣くだけで済んでいたのですが、今回は鉄製のU字ロックで頭蓋骨をカチ割られ、右半身が麻痺する後遺症を負ったのです。

 李建利夫妻は「庶民が稼いで買った車です。私たちが日本車を買ったのは悪かったです。次はもう買いませんから」と許しを請うたものの聞き入れられず・・・という最悪の展開に。

 この暴行事件には、中国特有の「圍觀」に問題もあるとか何とか言いたくなります。圍觀はいわゆる野次馬が周囲を取り囲んで成り行きを見守っている状態で、どちらかに荷担するわけでもなく、事態が一段落してやっと動き出すのが特徴的です。

 事件もオーナーが頭から血を出して、「一段落」したと判断されてようやく通報された、タオルが投げられたのかもしれません。もちろん凶器を持ったおっさんを止められない恐怖もあったでしょう。

 日本車のオーナーを助けてしまえば、「あちら側の人間」と判断されますし、日本車を所有できる金持ちに嫉妬する貧乏人のやる事ですから、金持ち側に回るのは得策ではありません。

 「圍觀」に参加していた群集の心理は憶測で書いているですが、大きくは外れていないと思います。

 こうした暴行は2005年の反日デモには見られなかった現象で、結局後ろ盾が誰なのか分からなかったのですが、組織化していないのも一因なのでしょうか。

 脱線しましたが、西安市は派出所所長が自ら乗用車の破壊に先頭を切っていたとの情報もありましたし、中国全土でもいち早くデモ禁止を打ち出しています。

 日本でも有名になったのが、「日本車だが心は中国」という曹操陣営にいた時の関羽の心境みたいなことが書かれたステッカーを日本車に貼って、襲撃を免れようとする動きが流行りました。ただ、反日デモを取り締まる傾向に触れることもありませんでした。

 とは言うものの、事件を重く見た西安市公安局は、容疑者の顔写真を公開し、懸賞金まで出すことになり、あっという間に逮捕までこぎつけたのです。

 最高で死刑とも伝えられる中、殺人未遂と器物損壊でどういった落し所になるのか注目していたのですが、被害者である李建利が西安市公安局を訴えました。

西安日本車オーナーが公安局を「不作為」で起訴(中国青年報 2012/10/11)

 集会・デモ活動法によると、デモの申請審査を行うする(西安市)公安局の職責として、デモの前に詳細な準備と、市民が秩序あるデモを保証するよう必要な警備を配備すべきだったとなります。

 また、治安管理処罰条例では、公安は治安維持機関として市民の安全を守る必要があると規定されていますし、最高人民法院の司法解釈では、デモの中で起きた財産や人身の被害については、地方政府かかん系部門に行政訴訟を起こせるとあるそうです。法的根拠はあるようです。

 公安は2005年のデモからずっと「圍觀」をやっていたのですが、ついに民間から訴訟という手法で批判を受けた形になります。

 数で完全に負けている公安がヘタに手を出せば反撃を受け、武装警察の投入を招きますから、事態の悪化は避けるよう指示されていたでしょうし、今回のように参加者の写真を撮って後から各個撃破していくのが常です。

 もみ合いはしょっちゅう起きていましたが、今回のような重大な暴行事件は初めてでしたし、公安が柔軟に対応出来なかったことは批判を受けても仕方の無いところであります。

 公安局の誰かの首が切られるだけで終わるのか、更に上まで波及するのか、それとも何も起きずに返り討ちとなるのか。「法治国家」を謳う中国ですが、果たして。
posted by aquarelliste at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 尖閣諸島 | 更新情報をチェックする

2012年10月02日

中国の本音が出た件について

 どうも近頃はタイムリーに記事を作れず、周回遅れのような気がしますが、2,3日寝かせることも必要だろうと自分を納得させつつ、寝かせる必要の無かった発言について。

 国慶節前の27日に開かれた、外交部記者会見でのものです。

戦敗国が戦勝国の領土を力ずくで占領しようなどと、そんな道理があるか(人民日報 2012/9/27)

 魚釣島は古来より中国固有の領土であり、中国側はこれに対して十分な歴史的、法的根拠を持つ。1895年、日本は日清戦争を利用し、違法に釣魚島とその付属する島嶼を盗み、清国政府に不平等条約を締結するよう迫り、台湾全島と付属する島嶼を割譲させた。

 第二次世界大戦終結後、カイロ宣言とポツダム宣言などの国際的な法律的文書を下に、中国は日本が侵犯した台湾を含めた中国領土、釣魚島と付属の島嶼をは国際法上中国領に戻った。

 カイロ宣言とポツダム宣言は世界反ファシズム戦争の偉大な成果であり、戦後の国際秩序の重要な基礎となっている。

 1945年の日本降伏文書はこれを明らかに受け入れている。中国政府は米日が中国の釣魚島を密かに受け渡したやり方には、最初より断固反対であり、承認できない。

 中国人民は世界反ファシズム戦争の勝利に巨大な犠牲と重大な貢献を果たした。戦敗国が戦勝国の領土を力づく出占領しようなど、そんな道理があろうか!?

 日本の魚釣島問題における立場ややり方は、国連憲章の趣旨や原則を踏みにじり、本質的には軍国主義の侵略の歴史を反省し清算しておらず、世界の反ファシズム戦争勝利という成果を否定し、戦後の国際秩序に挑戦しようとしている。これは国際社会が高度に警戒すべきだ。(以下略)
 見出しでネタバレという荒業を使いたくなるほどの怒りなんでしょうかね、人民日報様は。

 反ファシズム戦争()というのは、2005年の反日デモ辺りが初出だと記憶しています。中国の勝手な造語で、第二次大戦中に中国国内に日本の戦力を引き付けた、これは大いなる貢献だ、と噴飯モノの理由だったかと思います。中国は当時、反ファシズムの東方における主戦場だったとかなんとか。

 当時、ロシアの祖国防衛勝利記念の日を、勝手に反ファシズム戦争勝利記念日と訳していたので、原語を当たりに行ったら中国の嘘翻訳でしたとさ。ピーク時の造語である、反ファシズム戦争を持ち出してきており、しばらくは出力が高まりっぱなし期間が続く模様です。

 さて、見出しにもあるように「戦敗国が」という発言が削除検閲にも遭わず残っているのを見ると、中国様は法律云々を飛び越して、このような考えが根底にあるのでしょうかね。これを言ってしまうと、それまでの法的根拠の列挙が台無し。

 同日夜、国連総会で楊潔チ外交部長は、反ファシズム戦争は持ち出してきたものの、戦敗国うんぬんについては流石にはばかられたのか使っていません。洪磊がうっかり口を滑らせた、となるのでしょうか。
posted by aquarelliste at 23:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 尖閣諸島 | 更新情報をチェックする

2012年09月16日

中国各都市でのデモに及び腰の中国メディア

 15日は中国各地でデモが起きました。

 日本車が破壊されたり、日系スーパーや日本料理店への襲撃されたのに加え、日本と全く関係ないロレックスやクリスチャン・ディオールの店舗が襲撃・略奪されるなど、もはや反日デモを口実とした単なる暴動に発展しつつあります。

 2005年のデモ、2010年のデモ、そして先月末のデモでは、日本からターゲットが外れる事は無かったのですが、先月のデモは深センが他地域に比べて極端に荒れており、今から思えば今回の略奪に繋がる予兆はありました。

 深センでは日系の公安車両がひっくり返されていたのですが、これも2005年や2010年には見られなかった現象で、「公安の車両には手を出さないんだな」と揶揄されていたくらいだったのです。

 ところが深センでもはその一線を越えてしまった。

深センで4人が日本車破壊容疑で逮捕(新華社 2012/9/14)

 市民の愛国の情熱は理解できるし、市民が合理的な声を出すのは支持できるが、一部が故意に群集に入って扇動し、他人の財産を侵害する行為については、公安は容認出来ないし、愛国の名の基に違法行為をする事は出来ない。市民は理性的にこの件を見るべきだ。
 記事では市民の所有する日本車を破壊した、4人を逮捕したとあります。警察車両を破壊した容疑者を調査中とあるものの、うかつに手を出せないのか、現状では逮捕には至っていません。

 デモの予定されている15日を翌日に控え、ある程度の抑止力に使ったつもりなのでしょうが、全く効果はありませんでした。

 14日までは人民日報も北京でのデモを報じる余裕もあったのですが、15日は北京以外の地域での荒れ具合に肝を冷やしたのか、北京のデモはスルーされ、代わって参加者をたしなめる記事がいくつか出てきています。

愛国は法律の最低ラインを超えてはならない(新京報 2012/9/15)
評論「愛国の情熱に犯罪を持ち込んではならない」(北京青年報 2012/9/15)
郭文●「私が日本製品を使う権利を尊重して」(西部網 2012/9/15)
(●は女へんに青)
学者「極端な民族主義感情が中国を奪うのを阻止せよ」(人民日報 2012/9/15)
ネット評論「我々はどうやって釣魚島を守るか」(人民日報 2012/9/15)

 似たような記事なのでまとめてしまうと、「愛国はいいけど過激にならないでね」の一文で済んでしまいます。「日本の右翼は中国の団結を恐れている」という噴飯モノの呼びかけもありますね。

 また害国論から抜け出せておらず、党中央が新しい方針を打ち出せていない現状がわかってしまいます。

 習近平不在の煙幕にしては出力が強すぎるので、私は否定的でした。15日に姿を現しましたので、もしこの線なのなら16日以降はもう少し強く批判する記事が出てくるものと思います。

大量の事実が証明するように、近頃発生している違法なデモは愛国的行動などではなく、違法行為である(解放日報 2005/4/25)

 党中央が本気を出して反日デモを潰しにかかるかを見極めるために、2005年に上海市の機関紙・解放日報が出した上記の社説と同様にの断罪を行うかを判断材料にしたいとおもいます。

 解放日報の「四・二五社説」が上記のフニャフニャした記事と決定的に違うのは、自動車の破壊行為ではなく、デモそのものを違法であると断じた点です。デモ参加者は全員逮捕なのだ、であります。

 「日本の違法行為」である尖閣諸島の国有化や、「愛国の情熱は理解できる」など余計な話は一切書かず、共産党員、共青団員に「闘争の本質を見極めるよう」呼びかけており、事態が非常に切迫していることがわかる内容になっています。

 ここまで踏み込んだ批判が出来るか。「反日デモ」が反日デモではなくなった今、団結するのは党中央ではないのか、とか思ったりもします。
タグ:反日デモ
posted by aquarelliste at 08:04| Comment(3) | TrackBack(0) | 尖閣諸島 | 更新情報をチェックする

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