2009年12月16日

本当なのか?王楽泉がウイグル自治区トップ解任?

 先月も5ヵ所の省でトップである党委書記が交代しました。若返りの一環という名目と同時に、胡春華のような中国共産主義青年団(中青団)出身者を潜り込ませるなど、胡錦濤大先生の影響力は拡大中。

 習近平の独走を許すなど最高権力者としては頼りない面もあるのですが、3年後の第18回党大会、あるいは8年後の第19回党大会までに子飼いを送り込んで引退後も影響力を保とうと必死なのです。

 さてタイトルの内容なのですが、少し前にそういった報道がありました。
 
 王楽泉北京に召還 孟建柱が新疆掌握(2009/12/13 明報)
http://hk.news.yahoo.com/article/091212/4/fmcq.html
 ハイレベルの人事情報で定評のある明報なので無碍には出来ません。

 王楽泉は1995年から新疆ウイグル自治区トップである党委書記を続けており、その特殊な地位から禁じられている3選を果たして15年目に突入していましたが、今年7月に発生したウイグル自治区における暴動発生の責任を負わされ解任され、後任には、暴動鎮圧の陣頭指揮に現地入りした政法委副書記兼公安部長の孟建柱に決まったと報じています。

 なお、王楽泉の中央政治局委員と、孟建柱の国務委員の肩書きは当分そのままで、孟建柱が兼任している公安部長は青海省の強衛・党委書記が引き継ぐとなっています。

 もし真実であれば、2006年9月に解任された陳良宇以来の政治局委員失脚となります。

 9月には毒を仕込んで注射する無差別テロで死者が多数発生し、治安に不安を抱いた漢族数千人がデモを行い、辞めろコールに晒されています。この治安維持失敗を受けて、9月以降は孟建柱がウイグル自治区の治安維持に当たっていたそうです。

 また、孟建柱公安部長の後任となる強衛は北京市共青団委書記、市政法委員会書記など公安部門の経験者であり大先生系統の人物と願ったりの人選です。

 王楽泉は12月5日に北京で開かれた経済工作会議に出席し、報道前日の12月12日には中央政治局委員、自治区党委書記として武装警察を慰問。続く15日には新疆経済工作会議に出席するなど生存確認が出来ています。また、新華社のサイトでは今のところ明報が報じたような人事異動は確認されていません。

 中央経済工作会議北京で開催 胡錦濤、温家宝ら重要講話(2009/12/7 香港文匯報)
http://paper.wenweipo.com/2009/12/08/CH0912080004.htm
 王楽泉ら指導者が武装警察を慰問(2009/12/15 新疆電視台)
http://big5.xinhuanet.com/gate/big5/www.xj.xinhuanet.com/2009-12/15/content_18504316.htm
 王楽泉「新疆への投資は拡大中 過去最大の規模」(2009/12/15 中国新聞網)
http://www.chinanews.com.cn/gn/news/2009/12-15/2019654.shtml
 ただ、中国の人事異動はトップに近づくほど唐突です。毒針事件以降は引責辞任を取らされるとの観測がいくつかあり、今回はかなり具体的な内容として出てきています。

 王楽泉は65歳と政治局委員の定年に達しており、これを理由に残りの任期3年間は閑職をあてがって飼い殺しにするのでは考えられますが、どういう力学が働いているのかは香港紙のエラい人に頼ることにします。
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2009年10月17日

ウイグル騒乱事後処理2:漢族にも死刑判決

 タイトル通りです。

 14日のウイグル人6人死刑判決に続いて、15日にも「7・5事件」で逮捕された3人の裁判で判決が出ました。漢族の主犯とされる韓俊波にも死刑判決が下されたとして画期的と評判です。従犯の劉波は懲役10年の刑を食らっています。

 ただ、この2人の漢族が起こしたこの殺人事件は5日の騒乱発生当日ではなく、7日に報復のためウイグル族居住区に武器を持って入り、ウイグル人1人を殺害、1人を怪我させた容疑で立件されたもの。「7・5事件」裁判の中に無理やりねじ込み、バランスを取ろうとしているのがわかります。今回の一連の裁判ではこの2人のほかには漢族は起訴されていません。「7・5事件」で逮捕された漢族はいないということなのでしょうか。

 また、漢族の殺人は「7・5事件」の復讐という名文が成り立ちますから、わざわざねじ込んできたのでしょう。わざわざ「無実のウイグル人」と書くことで、仕方なかった感を出そうとしていると解釈も出来ます。一方でウイグル人が殺した民族ははっきりしません。

 党中央は民族対立的な色彩を薄めようと色々腐心したようで、新華社、人民日報など国内メディアの扱いはかなり地味。また、ここでも「漢族でも犯罪者なら法によって厳罰を課す」「法制社会の体現」「法の下の平等」(蒋兆勇・北京新疆問題研究者)とことさらに強調しています。

 蒋兆勇は判決前にこれまで中国が少数民族の犯罪者に対して甘く、その為少数民族の遵法意識が高まらなかったとして、従来取っていた「少捕少殺」(出来るだけ逮捕せず、殺さず)政策を止め、「法の下の平等」をやるべきだと少数民族政策転換を支持しているように読めます。

 もっともらしい指摘だと思いますが、既にウイグル自治区からウイグル族を「余剰労働力」として各地に送り込んでいることですし、同化吸収もそろそろ完了という気がします。民族政策の転換はしないと言ってましたしね。
   
http://hk.news.yahoo.com/article/091008/4/elh4.html
http://hk.news.yahoo.com/article/091012/4/engv.html
http://paper.wenweipo.com/2009/10/16/CH0910160015.htm
http://www.takungpao.com/news/09/10/16/xjsl_xgbd-1157197.htm


 追加になりますが、「7・5事件」で世界ウイグル協会の扇動があったものと改めて印象付ける報道が、結審と同時に公表されています。韶関事件の抗議でデモを起こしたはずが、なぜか世界ウイグル協会の国外からの操作によって引き起こされた独立運動にされていたでござるの巻。

 「世界ウイグル協会」扇動の7・5事件全過程公表
http://news.sina.com.cn/c/2009-10-17/070016452193s.shtml
 「7・5事件」舞台裏
http://news.sina.com.cn/c/2009-10-16/023216444495s.shtml
 「ウイグル人は漢族の奴隷」「屈辱と差別を受けている」「韶関事件で18人死亡」とネットに書き込んだり、国内のウイグル人が騒ぎを起こすよう呼びかけたとのこと。逮捕されたウイグル人が「世維会(世界ウイグル協会)と連絡を取ってデモの相談をした」と告白した映像も放映されており、相互に真実味を持たせようとしています。

 が、退社時間を狙った7月5日の午後5時にデモに集まるよう時間設定したのは、道行く人に知ってもらいたいからという説明は別におかしなものではありません。

 また、ネットでスレ立てしたり書き込みしたり(「血を血であがなう」「漢人を殺せ」とか)するだけでウイグル人の漢族に対する報復心や憎悪が高まったというのはいかにも無理があります。それ以前に漢族とウイグル人の仲がよろしかったのなら別ですが、お世辞にも両者の関係は最悪で、その状況を作り出したのは少数民族政策によるものです。

 ルビア・カーディル女史の弟が、「7・5事件」のわずか数時間前に「姉から今日ウルムチ市内で事件が起こるから気をつけるよう電話を貰った」と話しています。ネットでデモの告知をしていたのは事実ですから、そりゃ気をつけろと言うでしょう。

 ブログでは取り上げていませんが、この人は姉をなじる手紙を書いていました。文革の時にもやっていた肉親を切り離す「一線を画す」という手法で、多分言わされているんだろう、書かされているんだろうというのが大方の見解でした。逮捕されたウイグル人の自白も怪しいものです。
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2009年10月15日

ウイグル騒乱でうさんくさい死刑判決

 6月から7月にかけてウイグル族と漢族、さらに漢族と中央政府の対立を激化させた事件の判決が立て続けに出されています。

<ウイグル暴動>発端となった乱闘事件で漢族被告に死刑判決―広東省(2009/10/12 レコードチャイナ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091012-00000002-rcdc-cn

2009年10月10日、広東省韶関市中級人民法院、韶関市武江区人民法院は、今年6月に同市の玩具工場・旭日国際有限公司で起きた傷害致死、乱闘事件に関する判決を下した。同事件は2人が死亡、118人が負傷する惨事となり、さらには7月に起きたウイグル暴動の発端ともなった。新華網が伝えた。

韶関市中級人民法院では6月26日夜に起きた傷害致死事件に関する裁判が行われた。6月26日、漢民族の女性実習生・黄(ホアン)さんがウイグル族従業員に追いかけられ、また漢民族従業員とウイグル族従業員との間でケンカとなる騒ぎがあった。これを聞いた肖建華(シャオ・ジエンホア)は他の従業員を率いてウイグル族従業員をリンチ、2人を死亡させ9人に重軽傷を負わせた。肖は駆けつけた医療スタッフを鉄パイプで脅し、治療を妨害したという。中級人民法院は傷害致死と認定、肖に死刑判決を下した。このほか1人に無期懲役、3人に懲役7~8年の刑が言い渡された。

リンチの後、26日未明には仲間を殺されたウイグル族従業員と漢民族従業員との乱闘事件が起き、多数の負傷者が出る騒ぎとなった。韶関市武江区人民法院は漢民族3人、ウイグル族3人に懲役5~7年の判決を下している(うち漢民族1人は捜査に協力的だったとして執行猶予5年)。(翻訳・編集/KT)
 えーっと、「ウイグル族の勤務が始まってから漢族女性が強姦された」という怪情報をネットでスレ立てしたとして、逮捕された元従業員朱某はどうなったのかしら。

 確か、このおっさんがネット流したデマが、工場内での漢族によるウイグル族襲撃引き金の一因となっていたはずその設定はなかったことにされているのでしょうか。これではウイグル人が原因を作ったことになってしまっています。さも当たり前のように書かれていますが、前提となる条件を変えてしまっています。

 この民族衝突、状況は圧倒的に漢族に不利なのですが、上記の前提条件書き換えでイーブンにしたつもりなのか、双方とも3人ずつと喧嘩両成敗的な判決になってしまいました。

 では、公式には100%ウイグル人のせいになってるウルムチ騒乱はどのようにジャッジされるのかに注目してましたが、何と翌日に結審。

<ウイグル暴動>ウイグル暴動に初の判決=ウイグル族6人が死刑―新疆ウイグル自治区ウルムチ市(2009/10/13 レコードチャイナ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091013-00000008-rcdc-cn

2009年10月12日、新疆ウイグル自治区のウルムチ市中級人民法院は、ウイグル暴動に関する裁判3件の判決を下した。ウイグル族の被告のうち6人が死刑、1人が無期懲役となった。新華網が伝えた。

1件目の裁判は阿不都克里木・阿不都瓦伊提が被告となったもの。5人を殺害したほか、放火した罪に問われ、死刑を宣告された。2件目の裁判は艾尼・玉蘇甫、阿卜杜拉・麦提托合提、阿迪力・肉孜、努尓艾力・吾休尓を被告としたもの。市内各所で打ち壊し、放火、殺人、強盗を行ったとして4人全員が死刑となった。3件目の裁判は阿力木・麦提玉蘇普、塔衣熱江・阿布力米提が被告となったもの。殺人、放火、強盗などの罪に問われた。阿力木・麦提玉蘇普は死刑、塔衣熱江・阿布力米提は自ら自白したため無期懲役に減刑された。なお上記裁判はいずれも罪状が重い主犯格のみに刑が下されたという。

新華網によると、裁判には被告や原告の親族を含め400人もの傍聴者が詰めかけたという。裁判は被告の言語、ウイグル語で実施され、同時通訳も準備された。(翻訳・編集/KT)
 「暴動」犠牲者の民族内訳は、137名が漢族、46名がウイグル族、1名が回族。これは国内メディアでは出回っていませんが、新華社英語版やそれを孫引きした海外メディアの中国語版などではしっかりと伝えられている数字ですので、紛れも無い「公式情報」です。

 After horrible riot, Xinjiang people hope to mend tainted relations of ethnic groups(2009/07/11 新華社)
http://news.xinhuanet.com/english/2009-07/11/content_11693738.htm
 ウルムチ騒乱の死者184人に(2009/07/11 BBC中国語)
http://news.bbc.co.uk/chinese/simp/hi/newsid_8140000/newsid_8145400/8145491.stm
 鎮圧の発端となったデモのウイグル人参加者は幅がありましたが最多で10000人、その15%に当たる1434人が逮捕されています。その後もウイグル人居住区に住むウイグル人100人以上を連行しており、ウイグル人容疑者だけはてんこもり。

 しかし、少なくとも46人のウイグル族を殺した犯人がいるはずなのですが、暴動に参加した漢族が逮捕されたという報道は無かったはず。当然今回の裁判でも被告として名前が挙がっていません。レコチャイが翻訳を放棄していますが、記事にある人名は全てウイグル人のもの。漢族らしき名前は見当たりません。

 7・5事件の審判から法律の正義と公平を見た(2009/10/13 中国共産党新聞網)
http://cpc.people.com.cn/GB/64093/64103/10187546.html
 当然といいますか、御用学者らしき人が「法の前には平等」とかこの判決を褒めていまして、平等を6回も書き連ねておりよほど自信が無い模様。正義とか、公平みたいなキラキラした単語も散りばめられています。おま、この偏りと、韶関事件の不自然な3対3決着のどこが平等なのかと。

 よーし、ついったーでチャイニーズの声でも集めようかとアクセスしてみたら、なんとついったーもブロックされているとのこと。いつもながら手際がいいですね。

 ついったーは従来の掲示板、携帯電話、ショートメールに代わって情報が拡散出来るツールとして目をつけられており、「三股分子(宗教過激派、民族)が悪用した」ことを理由に、騒乱直後から監視対象になっているようです。

 ウイグル人に対する漢族の論調は御用学者と同様とみて間違いないでしょうが、根本的な解決がなされていないので、漢族にも燻ったものが残ったまま。「王楽泉辞めろ」コールをやった漢族の溜飲が下がるとはとても思えませんが、もう全員処理完了しているとかなら何も申しませんです。
posted by aquarelliste at 01:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ウイグル | 更新情報をチェックする

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