2016年02月21日

「環球はウチにもある」発言について

 19日、習近平さんが人民日報、新華社、中央テレビ局を視察しました。

 中央テレビが「検閲願います」、新華社が「我々は党の指揮に従います」と、かなり情けないスローガンを出してお出迎え。まあ、党の喉と舌だから仕方ありませんよね。

 中央テレビでは毎日午後7時からの広報番組、新聞聯播が30分のうち20分を割いて3社の視察を放送しています。長いなあと思いつつ見てたんですが、最初に訪れた人民日報での動きが気になりました。

習近平「正しい方向を堅持し、方法、手段を刷新せよ 新聞と世論の伝播力、指導力を高めよ」(新華社 2016/2/19)


※心なしか康輝もうれしそう

2016022001.png
※この新聞だよ

 集められた過去の人民日報や傘下の新聞、雑誌の中から、習が1つを指差して「これはウチにもある新聞だ」(我哪兒也有這個報)とつぶやくのですが、どうもこれが環球時報らしいんですね。

 らしいというか、環球がうれしそうに記事をこしらえているので間違い無いのですが。「習総書記、『環球時報』を指差して『ウチにもこの新聞ある』」という情けない見出しが付いています。

 元々は環球の微博ツイートで、Iphone6から書き込まれているので胡錫進が更新しているんでしょう。

 さて、習近平さんの発言です。さすがの喉と舌でも、無限に習近平の肉声を垂れ流すことはしません。大抵はナレーションが一気に言いたいことを言い、肉声はここぞという時にしか流れません。

 環球時報は昨年、中央紀律検査委員会による人民日報への巡視で「際どいボールを投げている」「レッドラインを踏んでいる」「宣伝紀律に違反している」と滅多打ちにされていました。

 また、胡錫進個人も、2013年にドイツで開催されたフォーラムに出席したついでに、経費でポーランド旅行に行ったとして返金はもちろん警告処分を受けています。正式な発表より先に漏れてきたこともあり、胡は相当嫌われているのだと思いました。

 当時私は環球が批判を聞いて大人しくなれば習近平の勝ちだと書きました。しかし、視察での発言は環球はいい新聞だ、ここらで手打ちにしようかと言っているようにも聞こえてくるのです。
2015/10/19 人民日報の巡視結果

 環球のバックは実は習近平だったとまでは言いませんが、今の習近平が言えば手打ちになるでしょうからね。
タグ:環球時報
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2016年02月19日

「華国鋒銅像を守れ」に住民が集結

 毛沢東の死後に党主席を務めた華国鋒は、2008年に死去した後、地元である山西省呂梁市交城県で建設された墓にその遺灰が納められています

 建設に当たっては「田んぼを占有しないこと、民衆と争わないこと、環境を破壊しないこと、旧跡を傷つけないこと」との華の遺言に従いつつ、(「規模については何も言ってないな」と同地の官僚が思ったのかはさておき)、総面積4260平方メートルと、墓と呼ぶにはあまりにも巨大な陵墓になりました。

 建設が完了した2011年には、1億元を費やした、地元の玉が使われた、総面積は10万平方メートルだ、などの批判に対しては、「1200万元しか使ってない。中央からの補助はない」(建設責任者の白慶峰・県民政局副局長)と反論。

 上級の指導部、つまり党中央や山西省、遺族の要求は満たしているのに、何も知らん訳知り顔の奴らになんで文句言われんとあかんのじゃいという当人の声が聞こえなくもありません。

 中国青年報も「個人崇拝を助長する」と批判的でしたが、結局中央がゴーサインを出しているのだから県を批判するのはお門違いですよね。

 党主席経験者の墓という「愛国主義教育基地」、「紅色旅行基地」を、1962年に建設された晋綏辺区革命記念館や、同時に着工している英雄記念広場と合せて観光地化し、収入を増やしたいとの思惑もあったのでしょう。

 その陵墓に建てられた華の銅像を巡って、住民と公安が衝突する騒ぎとなりました。

呂梁市で1万人が「華国鋒を守れ」で終結 市側「銅像撤去は既に停止」(新浪新聞極客 2016/2/18)



 17日午後10時ごろ、「銅像が撤去される」「銅像の周囲に足場があるのは深夜に解体するためだ」と微信で情報を掴んだ、住民1万人以上が英雄記念広場に続々と集まりだしました。

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※華国鋒さんの銅像

 陵墓建設中、同広場は華国鋒記念広場の名称で工事が進んでいたものの、英雄広場と名称が変更されたため、既に完成していた銅像も文字通りお蔵入りになっていました。今年の1月27日にようやく陵墓に鎮座したのです。

 撤去の一報が流れると、「華老(華国鋒への敬称)は交城の誇りだ。なぜ撤去するのか」(出稼ぎ中のおじさん)となって、国歌斉唱や「保華(華国鋒を守れ)」「命にかけて老華の尊厳を守れ」などと書かれた横断幕が飛び交い、老人が演説するなどいつもの展開になり、駆け付けた公安と衝突する事態に発展。

 特に2月16日は華国鋒生誕95周年の記念日でもあったため、現地住民の強い反発を招いたと見られます。旧正月明けだからなのか、爆竹も大量に鳴って一時は火事のようになったようです。

 呂梁市宣伝部は銅像の撤去は既に停止したと宣言しています。図らずも微信の情報が確認されたわけですが、なぜ撤去の運びになったのかは現時点では不明です。




 先月、ゴールド毛沢東の36メートル銅像が未申請を理由に解体されており、今回も同じ理由ではないかと考えられます。
タグ:華国鋒
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2016年02月15日

胡春華失脚の可能性について妄議

 金鰤主筆にして現在様々なメディアでご活躍の高口さんから、この1年に3回くらい「今年は大物が失脚するはず」と持論を展開されたので、その可能性について考えてみました。

 大物とは、この20年間で汚職を理由に失脚した陳希同、陳良宇、薄熙来といった地方自治体のトップを兼任する政治局委員のことを指します。党大会が近づくと有力な政治家が失脚するという、このジンクスのことを高口さんは言っているんですね。

 当時の為政者である江沢民、胡錦濤、温家宝らと、対立する言動を取っていた点が、この3人に共通する「罪状」になります。

 陳希同は「六四天安門事件で直接返り血を浴びたワイが政治局委員止まりで、なんで江沢民が総書記やねん」(大意)という不満を漏らしていたそうです。

 陳良宇は高成長路線を放棄しろ、いやしないで温家宝や胡錦濤と対立し、最後は恭順姿勢を見せながらも解任。薄熙来はこれまた温家宝と対立しつつも、習近平を筆頭に過半数の常務委員からも支持を受けていたのですが、王立軍事件から見事なまでに手のひら返しを食らっています。

(左から氏名、解任された年月、直近の党大会開催年月)
陳希同 1995年4月 1997年9月(第15回党大会)
陳良宇 2006年9月 2007年11月(第17回党大会)
薄熙来 2012年4月 2012年11月(第18回党大会)
 要するに、次の党大会で常務委員入りして習近平に挑戦権を得そうな人物を探せばいいんです。しかし、すでに習近平の一強状態が確立し、少なくとも表立っては不満が聞かれません。

 上記の3人にはそれなりの後ろ盾がいて強気に出られていた面もあります。現役の党員でそんな後ろ盾を持った人物も、また強力な後ろ盾になりそうな人物も見当たりません。この条件下でケンカを仕掛ける無謀な人間などいるのでしょうか。

 いなければ作ればいいだけの話です。上記の3人はある意味自分から当時の為政者にケンカを吹っかけて敗れ去ったんですが、習近平がケンカを売りに行くスタイルで考えてみると、やはりターゲットは次世代のトップを走る胡春華かなと。

 いわゆる団派、共産主義青年団(共青団)閥というものがあるのかという疑問もありますけど、第17回党大会で李克強が習近平に総書記の座を奪われ、第18回党大会では汪洋、李源潮が政治局委員のまま足踏み。周強は52歳の若さで閑職送りと大惨敗を喫しています。

 さらに共青団自体も党中央というか習近平に恭順姿勢を見せており、共青団から有力な政治家が新しく現れない現状に陥っています。

 胡春華は胡錦濤がその能力を買っていて、かなり大事に扱われてきており、苦杯をなめまくった共青団に残された最後の希望と言っていいでしょう。

 第18回党大会で胡と同じく政治局委員に昇進し、重慶市トップとなった孫政才と、共青団の期待を一身に背負っている(はずの)胡とでは、まるで期待度が違うのです。

 ただし、胡に大きな失点が無ければ、上述のように党中央というか習近平との対立軸も無く、胡を失脚させるというのはさすがに党内や習の強力な支持母体である紅二代の支持を得られなさそうです。

 胡春華の失脚が無理としても、常務委員昇格を5年遅らせることはできます。定年延長と習の総書記三期目が堅ければの話ですが。

 胡錦濤、習近平の総書記経験者は帝王教育のために少なくとも5年前に常務委員に昇格しています。2022年(第20回党大会)以降も習が続投するのであれば、2017年(第19回党大会)に常務委員入りする必要はなくなります。地方経験しかない胡がいきなり総書記に就任することはあり得ませんからね。

 1963年生まれの胡は2022年でも59歳ですから、そこからさらに常務委員を二期務められますし、習の三期目が確実になればそれは定年が70歳に引き上げられていることが前提になりますから、胡春華総書記(仮)は、一期5年の2032年で引退せず、2037年まで続投が可能になります。うわあ、四半世紀先の話ですね。

 大物失脚について考えるつもりが、なぜか定年延長に話が流れてしまいましたが、現実的なところはこの辺りではないでしょうか。
posted by aquarelliste at 13:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

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