2015年12月22日

【深セン土砂崩れ】人災は来年も起こる

 20日午前、広東省深セン市北西部にある光明新区で、採石場に運び込まれた建設残土が崩れ、付近の工場や宿舎など33棟と85人を飲み込みました。

 事故発生直後、現地安監部門(安全な生産を監督管理する政府部門)職員が、「規定に違反して残土が運び込まれていた」とのコメントを発表しており、人災であることが判明しています。

 避難した住民によれば、100メートル以上、実際には150メートルの高さに積み上げられた残土が、当日の雨を引き金に一気に崩れだした格好です。

 事故後の写真を見ても広範囲に渡って広がる赤土はどこから来たのか。普通に考えれば、山を削ったか地面を掘ったかのどちらかですが、どうやら後者のようです。

残土堆積2年近く 住民の訴えも無視 採石場が堆積場に(明報 2015/12/21)

 残土はこの2年間毎日のように運び込まれており、周辺住民は何度も地元政府に訴えたものの無視されています。昨年2月に採石場を「臨時堆積場」と認定したのは当の地元政府だからでしょう。

 この残土は、深セン市中心部で進められている地下鉄工事で出たものではないかと見られています。まあ、他に大規模に山を削ってたりどこかを掘り返していれば別なんですが。

 そもそも、審査機関も深セン市なら、建設する側も深セン市の企業ということで、深セン市が無関係だという展開はなくなりました。

 この手の堆積場は深セン市内にあと9ヶ所あり、どこも危険なところまで来ていると、昨年の時点で深セン市の担当者が認めています。新しく作りたくても市内は狭くて作れないようです。

——(ここから加筆あり)

 この堆積場は、今年1月12日にまとめられた『環境リスク分析』という報告書PDF)によれば、155メートルの高さ、800万立法メートルの残土が堆積できる工事と記載されています。

 採石場時代に掘りまくったのと、残土を積みまくったことで「土壌が露出して水分や土砂流の流出が著しい」「堰堤(土砂流出を防ぐ土の堰)が崩壊すればその被害は北側の柳渓工業園(残土が飲み込んだ工業団地)の安全にも影響を及ぼす」と指摘。

 されていたにもかかわらず、「この工事自体が環境保護であり、都市環境にも明確な改善が見られるだろう」という謎の結論に落ち着き、残土は絶えることなく高々と積み上げられ、大惨事を引き起こしてしまいました。

———(加筆ここまで)

 今年は大きな自然災害は起きなかった中国ですが、主だった大事故はすべて人災でした。年初の上海市の雑踏事故、6月の長江フェリー転覆、8月の天津港爆発、いずれも人災です。

 中国人が中国人自身の命を安く見ている限りは、今後も人災による事故が起きるはずです。

 北京で開催されていた中央経済工作会議からとんぼ返りした深セン市トップ2ですが、上記の事故では指導部にまで累は及んでいないので、たぶん大丈夫でしょう。誰も心配していないでしょうが念のため。
タグ:深セン市
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2015年12月19日

楽団緊急帰国後の中国の態度

 中国はモランボン楽団にかなり期待していたのが、帰国前の報道で伝わってきていました。

モランボン楽団 突然帰国の波紋(NHK 2015/12/17)

 中朝の楽団帰国をめぐる動きがまとまっている良記事です。私は中聯部部長と朝鮮側団長の会見について考えてみました。

 楽三代目の水爆発言に中国が反発した、あるいは三代目を称えるような歌詞を変えなかったため、中国がもともと出席が予定していた政治局委員、常務委員から次官級への格下げに反発した北朝鮮が、怒りの帰国に踏み切ったと言われています。

 楽団を率いてきた北朝鮮の崔輝・中央宣伝部第一副部長と会見したのも現部長の宋濤なら、演目変更などの説得を振り切った帰国後に、池在龍・駐中大使に理由を問い詰めたのも前部長の王家瑞と、少なくとも今回の訪問では中央対外聯絡部が仕切っていたようです。

 宋濤も習近平のお気に入りのようで、先日王と部長を交代したばかり。就任直後に訪中団を受け入れてポイントを稼がせようとしていたんでしょうが、今回は裏目に出てしまいました。

 宋濤と崔輝の会見内容が削除された部分は以下の通り。中国側が二段落言いたいことを書いて、その後相手が中国の聞きたいことを一段落書くのが会見のフォーマットです。

 宋「崔輝氏が両団を引率して中国に公演することを歓迎し、また先だって劉雲山同志が訪朝を成功させたことで、中朝関係は新しい発展を見た。中国は朝鮮の同志と共に、両国最高指導者の共通認識を的確に貫徹し、各分野の交流を上手く展開し、中朝関係の健康的かつ安定的な発展を推進していきたい」

 宋「中国は今回の公演を高度に重視している。両大楽団は過去何度も中朝友好活動に参加し、両国の文化交流の使者であり、心をつなぐ架け橋である。演出する舞台は芸術を上演する舞台というだけではなく、中朝友好の舞台でもある。中朝双方による共同の努力の元、両国民衆の人文交流活動がさらに多彩となり、中朝の伝統的友誼が大いに発揚されると確信している」

 崔「中国側の情熱的招待と、周到な手配に感謝する。朝中友誼の伝統は長く、両国の芸術交流においても良好な伝統が存在する。今回の訪問を通じて、両国人民の伝統的な友好、友誼がさらに強固なものになることを希望する」
 中朝関係が悪化していることを認めていて、楽団訪中による関係改善を期待していたことがわかります。

2015121901.png
※削除後

 削除され具合を、直近の例である前の駐中ラオス大使との会見と比較するとよくわかります。削除後は写真も無いし、会いましたという事実だけ伝える塩対応に変化していますね。

 人民日報の紙面に転載される場合は限りがあるので事実だけになるのも仕方ないんですけど、中聯部のサイトに文字数の縛りは無いはずですからね。

 削除自体はバレているので、中国が今回の公演をかなり期待しいてそれが裏切られたため、期待などしてませんでしたよ、中朝の友誼についてはなにも話してませんよ、中朝関係はこの会見前の状態ですよというメッセージになるわけです。

 宋濤は池在龍と7日にも会っていて、10月に劉雲山が習近平の親書を手渡したこと、中朝関係をさらなる高みに引き上げるために協力しようと発言しています。

 楽団帰国後の対応を見る限り、中朝関係は劉雲山訪朝前の段階に戻っていると見ていいでしょう。
タグ:宋濤
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2015年12月13日

配信元である新華社の責任はないのか

 中国では紙媒体やウェブで、自国の指導者の名前の書き間違えがしばしば発生します。

 2010年に人民日報が温家宝を温家室と、同年に中央テレビの「新聞30分』が、公式サイトの番組紹介で国家副主席時代の習(习)近平を刁と書き間違えたのがここ最近の二大ミスとなっています。

 温家宝は関係者を処分しないようにと求めたとの温かいエピソードが漏れ伝わって来ましたが、担当の主任が降格になるなどの処分を受けており、別件ですが担当者が自殺したケースもあるなど、単なる誤字では済まされないのです。
2014/7/5 りんたおの名前を間違えた記者が自殺



 しばらくなかった誤字事件ですが、11月にも習近年事件が起きており、そろそろ中国の記者は自分が使ってるPCの辞書にりんたおの名前を登録しろよと心配になります。

 さて、この人名の間違え。今度は新華社さまがやってしまいました。

 11月29日、パリで開かれるCOP21に出席に出席するため、フランス入りした習近平。翌30日にはオバマ・米大頭領と会談したのですが、オバマの漢字を間違って配信してしまっていました。

 オバマは中国では「奧巴馬」と書くのですが、新華社が19時38分に配信した記事の見出しでは「奧馬巴」(オマバ)となっています。

 6分後には「奧巴馬」と正しい表記に差し替えたものの、この手の大事な記事は独自記事を書かずに丸写しするよう指示を受けているので、内容をそのまま使った地方紙は軒並み被害を受けてしまいました。

 財経によれば、『煙台晩報』、『銀川晩報』、『東南快報』、『青年時報』、『今日早報』、『巴渝都市報』などの見出しが「奧馬巴」のまま、紙媒体に印刷され、 オマバ大統領が中国の少なからぬ地方都市で産声をあげたことになります。地方紙だけではなく、中国網、中国政府網、財新らもそのあおりを食らっています。

 「誤りは誤り。いかなる言い訳も出来ない」(『銀川晩報』責任者)と各紙、責任者の処分を行っているようなのですが、自国の指導者ではないからか、『北海日報』のようにそのままになっているメディアも存在していたりします。

2015121301.png
※自分だけこっそり修正する

 それはそれとして、謝罪も何もないまま新華社がシレッと修正を加えており、さすが中央クラスのメディアともなると責任を取らなくてもいいのだなと感心してしまいます。

 新華社は2020年の夏季五輪開催をかけた決選投票で、「イスタンブールが開催権獲得」と速報を流して、中国メディアが一斉に誤報を配信させた前科があります。
2013/9/8 新華社のオウンゴールに色めくメディア

 この時、すり替えをさせられたメディアは結構怒っていたのですが、今回は見当たらないんですよね。

 それどころか、財経などは「過度に信用しすぎている。国家通信社の権威を盲信した上に、責任者の責任感の欠如がこのようなレベルの低いミスを作った」(黄楚新・中国社会科学院メディア発展研究センター主任)と、新華社の問題には触れていません。

 重複になりますが、重大事件や報道は、新華社の通稿を使えというお達しが出ており、これを書き換えることは許されていないはずですし、使えと通達を出している新華社に責任があるのです。その新華社の責任を問わず、使わされている地方紙だけを叩くとは。

 そういえば、先週には中国新聞社が「『致辭』(あいさつ)の中で」中国とアフリカとの関係について話していたのに、「「辭職」(辞職)のなかで」と書き違えられていました。二字の発音が逆になっているんですね。中央のメディアは漢字の入力から習ったほうがいいです。
タグ:新華社 通稿
posted by aquarelliste at 09:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

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