2015年11月26日

党員がテロ組織に参加する新疆

 党中央の政策を妄議した新疆日報党委書記の解任、複数の新疆自治区の幹部の紀律検査部門による取り調べに、「テロリスト」への火炎放射器使用、「テロリスト」と逃亡していた幼児もろとも爆死させるなど、最近新疆の報道が目を引きます。

 かつて統一戦線部副部長は、「宗教を持つ者が多い一部の少数民族において、党員も宗教から変化した民族、風俗、礼儀については、大衆からかけはなれた存在とならないよう柔軟な態度をとることを許される」、つまり現地の宗教を理解するフリは許されるとの見解を示しました。
2011/12/21 宗教に走る党員増加のシグナル

 もちろん党員の信仰の自由が取り下げられているわけではなく、現地で無用の衝突を避けるための折衷案だったのかもしれません。

 あれから4年が経過しましたが、自体はかなり深刻になっている模様。現地の宗教に理解を示すどころか、現地に入れ込みまくっている党員の存在が明らかにされました。

政治紀律を厳正にし、長期安定を実現させよ(中国紀検観察報 2015/11/24)

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※衝撃の告白が結構あっさりとされる紙面

 寄稿者は自治区紀委書記の徐海栄。新疆党員幹部は全体的には良いとしながらも、「一部幹部は政治紀律、政治規定を守らない問題が依然存在している」と指摘。

 具体的には「上級の政策決定に対して無責任にあれこれ言い、揚げ足を取り、党中央や自治区党委の要求と相反する発言を公の場で発表する者がいる」とのこと。これは新疆日報党委書記の紀律違反容疑である「妄議」と重なりますので、彼が例外というわけではなさそうです。

 さらに、「民族分裂の反対、民族団結の維持、祖国統一の大原則問題において、はっきりと態度を表明しないばかりか、暴力テロ活動を支持、参加している者がいる」と、党員のテロ組織関与を認めています。

 先日解任された新疆日報党委書記は漢族のはずです。漢族の党員の中にも現地人であるウイグル人に親近感を持ち、同情して消極的な協力をしたり、「テロ組織」に身を投じる者がいるとみていいでしょう。主力はウイグル人でしょうが。

 「腐敗した新疆幹部」の話とは言え、新疆の現地の様子と密接につながる内容なのに、新疆日報ではなく中央紀律検査委(中紀委)の機関紙である中国紀検観察報を寄稿先に選んだのが謎ですが、自治区委書記の張春賢ではなく自治区紀律検査委トップの徐海栄が先頭に立って党員をビッシビシ取り締まっていくという意味なのかもしれません。

 しかし、「武装勢力」や「テロリスト」が絡んでいるのであれば、単なる汚職とは異なりますから、建前上は武力を持っていない中紀委に何ができるのか。政治紀律の厳守を呼びかけるだけで事足りるのかと言えば恐らく無理でしょう。汚職はおろかささいな政治規定の違反も撲滅できていないじゃないですか。

 新疆における民族政策が「武装勢力」や「テロリスト」に党員を走らせる原因を作り出しているのですから、そこに手をつけるのが一番手っ取り早いのですが、それは中紀委のお仕事ではないですしね。
ラベル:新疆 新疆日報
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2015年11月23日

趙紫陽の名が削除された胡耀邦特別番組

 11月20日は胡耀邦生誕100周年の記念座談会が開催され、また引きこもっている王岐山も含めた常務委員7人全員が出席しています。

 習近平はAPECから光の速さで帰国し、翌日にはリカちゃんが東アジア会議に出発という際どい日程を縫っての開催でした。昨年から開催は決まっていたので、両会議に日程の調整をつけるようお願いしていたんでしょうね。

 生誕100周年記念のつどいが党主催で開催された歴代の面々を見ても、遜色ないところまで来ていますし、現役時代の講話や発言などをまとめた文選が出版されています。これをもって完全復活といってもいいかもしれません。

 しかし。胡耀邦のドキュメンタリーが20日から3夜連続で5話放送されたのですが、隠蔽よりひどい歴史の改ざんを堂々と行っていました。

 サクッと状況を説明しておきますと、第12期一中全会では華国鋒のシンパが一掃され、鄧小平とそれに近い長老たちが政治局に復活し、さながら老人会のような平均年齢となってしまいました。確か70歳近かったんじゃないかと思います。

 常務委員もそれは同じで、総書記の胡耀邦ですら67歳。前世紀生まれで御歳85歳の葉剣英が常務委員に居座るなど、同年に行われた新人発掘は一体何だったのかという顔ぶれになってしまいました。

 若返りを果たすのは3年後の五中全会で、高齢者は中央顧問委員会に徐々に移行していったのですが、「中央委員会の助手と参謀」と党章程に規定された過渡期の産物のはずの老人会は、様々な形で現役世代に干渉し、胡耀邦の総書記解任や、第13期の常務委員、政治局委員人事にまで口を挟む輩も現れました。薄熙来の父にして同委副主任を務めた薄一波のことです。

 老人会の影響力を排除できなかったことが鄧小平最大の過ちではないかとも思うのですが、そもそもヒラ党員の鄧小平が軍事委主席とかよく考えたら異常事態なんですが、中顧委についてはまとまってないので別の機会に譲るとして、ドキュメンタリーの内容に戻ります。



 党大会の直後に行われ、党大会で選出された中央委員から、政治局委員、常務委員、紀律委員らを選出するのが中央委員会の第1回全体会議、通称「一中全会」です。

 第12期の一中全会も党大会の直後に行われ、常務委員、政治局委員らが選ばれています。下の画像は、ドキュメンタリーで使われた、一中全会の様子を報じた人民日報の一面です。

黨的事十二屆一中全會選舉中央領導機構和中央領導人
(党の第12期一中全会、中央指導機構と中央指導者を選出)
胡耀邦任總書記 鄧小平任軍委主席
(胡耀邦が総書記に、鄧小平が軍委主席に任命)

 とあり、その下に赤字で政治局常務委員が紹介されています。

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※時代をクリエイト

胡耀邦 葉剣英 鄧小平 李先念 陳雲

 一中全会で選出された常務委員は、「胡耀邦 葉剣英 鄧小平 趙紫陽 李先念 陳雲」の6人です。

 人民日報の「中国共産党歴代全国代表大会データ庫」にもそう書いてあります。

 フェニックスあたりが歴代の党大会や中央委員会を紹介する際、趙紫陽が絡んでくる会議はなぜか引きの写真を使用し、「時任總理」(当時の総理)といった紹介をするのは隠蔽ですが、まあこれは許しましょう。

2015112302.jpg

 中共が歴史をクリエイトするのはこれが初めてではないのはご存知の通りで、上の写真は「鄧小平と胡錦濤の親密な間柄を示す写真にしたい」という何だかよくわからない理由で、間にいた江沢民が消されています。

 江沢民失脚とかそういうのとは関係なしにやってしまうのが中共で、失脚して一度は写真から消された劉少奇が、名誉回復後に再度現れるなど出し入れ自由。某番組の「映す価値なし」と言えば分かりやすいのでしょうか。

 しかし、中共にいかなる事情があろうとも今回の措置は改ざん以外の何物でもありません。それなら無理して紙面を使う必要はなかったはずです。

 改ざんしてまで敢えて使ったというのは、「まだその時ではない」という強いメッセージなのかもしれませんが、それにしても落胆させられる胡耀邦100周年でした。
ラベル:胡耀邦 趙紫陽
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2015年11月21日

紀律ってなんなのよ

 先月、党員が守るべきとされる党内紀律に関する新処分条例が、12年ぶりに更新されました。

 この新条例から計画生育、いわゆる1人っ子政策に関する記述が削除されたことで、直後に開催予定の五中全会で何らかの方針が打ち出されるのではないかと見られていましたが、これまで原則1人だった出産制限を2人に拡大すると発表されました。

 とは言え、両親のどちらかが1人っ子や少数民族であったり、長子が女児や障害者だった場合、2人目の出産が認められており、効果はそれほど無いのではと見られます。一人っ子政策は1979年に始まっており、対象となる漢族で適齢期の両親は大抵1人っ子ですからね。

 また、これまで社会撫養費の名目で超生(2人目以上を出産すること)の罰金を取り立てたり、地域に割り当てられたノルマのため、妊婦を無理やり堕胎させたりしている「組織」についてはアナウンスがありませんでした。中央省庁の1つでもある国家衛生計画生育委員会と、各地方自治体にある同委のことです。

 生育に関する制限が緩和されただけで制限自体は残っているのですから、組織が存続するのは当たり前なのですが、社会撫養費は地方自治体の大きな財源となっています。

 2013年に日本の厚生労働省に当たる衛生部と合併しており、途端に仕事がなくなるわけではありませんが、彼らを食わせ、地方自治体を食わせなければいけませんから、無くなるはずはありませんが。

2012/6/28 計画生育という名の裏で
2012/7/12 全国的にありそうな強制堕胎

 話を元に戻しますが、新紀律条例から計画生育の項目が消えたことで、党員は計画生育を守らなくていいとの期待が生まれたからなのでしょうか。

 そう考えているバカは実際にはいないでしょうけど、中央紀律検査委副書記が説明のため公式サイトに登場しています。

張軍・中紀委副書記、話題の法規2点をネット上で解説(人民網 2015/11/18)

 新条例では法律と重なる部分は削除されています。張軍・副書記に言わせれば、「書いてなくても国策なんだから守って当たり前」なんだそうで。

 新条例の第32条には、「党員はいかなる種類の犯罪行為であれ、事案が軽微であれば法的処罰は無いが、党内職務は解任し、党内観察か、党籍剥奪する」と規定されています。法律を犯せば、条例に記載がなくても党内の処分がある、というのは理解できます。

 まあ、そうなんだけどさ、だったら紀律条例ってなんなのよ、となりませんかね。

 紀律は明文化されたもの、今年になって突然出てきた「規矩」は明文化されていないものと分けられており、私の感覚ではどっちも守ってねとの意図はあるものの、明文化されていない分、規矩は紀律より下と見ています。私は規矩を規定と訳しています。

 しかし、新条例発表前から旧条例にはなかった「紀律違反」を理由に党籍を剥奪されたり、新条例の実施が2016年1月1日からであるにも関わらず、すでに新条例に照らし合わせて処分を受けている党員がいたりします。

2015/11/2 新疆日報トップの妄議とは

 党員をかばうつもりは全く無いのですが、遡求は反則ですし、逆もまたしかりでしょう。紀律条例に記載がなくても紀律違反になるなら、もう何でもありなんじゃいかと。
ラベル:中紀委
posted by aquarelliste at 11:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

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