2015年09月27日

食堂従業員と朝食宅配サービスの衝突

 学校の食堂が原因で報道されるとすれば、食堂で出てくる食事がまずい、高いのを理由に、毎年のようにどこかの大学や高校で学生が食堂を破壊しまくるのが相場です。

 1元高くなったりするだけなのですが、この辺りの金銭感覚や怒りにつながるロジックは当事者にしかわからないので、出来れば破壊に参加した学生のインタビューなど聞いてみたいところ。

 さて、今回起きたのはいつもとは逆で、食堂側が学生を殴るというものでした。

南通大学の食堂従業員が朝食販売の大学生暴行 大学「双方に肉体の衝突」(the paper 2015/9/25)

 25日、『南通大学、食堂従業員が赤色の頭巾をした朝食団体を暴行』というタイトルの動画がネット上にうpされました。



2015092702.png
※いつもながら躍動感にあふれている

 ネットで予約した朝食を、大学生たちが寮まで届ける商売をしていたところ(O2Oというシステムがあるんですね。勉強になりました)、思い切りその煽りを受けた食堂の従業員がブチギレて取り囲み、大学生2人をタコ殴りにした動画でありました。

 同校は微博を通じて3回にわたって状況を説明しています。

http://www.weibo.com/5182108218/CCbl2De3n?from=page_1002065182108218_profile&wvr=6&mod=weibotime&type=comment
http://www.weibo.com/5182108218/CCkoI518G?from=page_1002065182108218_profile&wvr=6&mod=weibotime&type=comment
http://www.weibo.com/5182108218/CCkq2dIi2?from=page_1002065182108218_profile&wvr=6&mod=weibotime&type=comment

 調査の結果、暴行を受けた大学生は、宜興大師兄科技有限公司という企業が展開する、紅領巾という朝食お届けサービスに雇われたバイトだとわかりました。

 同社はまずい食堂しかない大学に目をつけ、各地の大学生に朝食宅配サービスを展開。南通大学では無許可でやっていて、雇われた学生は販売を許可するよう大学側に求めていたものの、衛生面の問題を理由に拒否され営業を止めるよう要求されていたようです。

 一方、大学は食堂との契約を打ち切り、学生を暴行した6人は3日から7日間の行政拘留と、500元の罰金刑を受けています。

 殴られた大学生が南通大学ではなく南通職業大学と、南通大学の本体ではなく付属の紡織服装学院の学生であったことから、よその大学に早朝からバイトに来ないと、暮らしていけない苦学生なのかなと格差を感じる次第。

 動画を撮影している目の前で都合よく乱闘が始まる辺り、仕込みっぽい気もするんですけどね。撮影者が現場に着いてから始まる乱闘。

 食堂を運営していた中快餐管理有限公司と大学とは関係が切れたわけですし、宜興大師兄科技有限公司は願ったり叶ったりの結果になったんじゃないかと。
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2015年09月26日

習近平が重用するお友達2015年度版

 2年前から黄坤明や蔡奇に注目してたとか、なかなか先見の明があるんじゃね?と一人悦に入っている水彩画先生ですが、この2年間で相当出てきたのでまとめておきましょう。

 習近平の「親信」(腹心の部下)は、大きく分かれて清華大学以前、河北省、福建省時代、浙江省、上海市時代に接点のあった人物に分けられます。習の総書記就任以降、特に福建以降の親信の登用が凄まじいことになっています。

 付き合いが長いほど高位についていて、実力もそれなりに持っている人たちです。例えば50年近い付き合いのある王岐山や、清華大学を卒業してすぐのころに知り合った栗戦書ですね。

 一方、浙江、上海時代だとそこからの伸びしろがあまりないので、実力はどうなのかという気もしますが、年齢的には習よりも若い50代が中心で、2022年に総書記を退任した「習後」を任せる人たちなのでしょう。定年が70歳になって習が3期目を務めるための布石としてもいいですね。

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※コラム最終回当日の浙江日報

 親信たちは浙之新軍と呼ばれています。浙江省のトップだったころ、習近平は省機関紙である『浙江日報』の1面に「哲欣」の筆名で『之江新語』というコラムを書いていました。

 「哲」「欣」はそれぞれ「浙」「新」と音が同じ。「浙江創新」(革新)の意なんだそうです。官製メディアは、よくこういう筆名を使います。

 当時、習近平の筆名だと明かされていたのかは知らないのですが、浙江省委書記を退任した翌日からコラムが掲載されなくなったので、この時点で気付いた人も多かったのでしょう。

 当時このコラムを読んでいた習の部下たちが、現在習によって引き立てられています。彼らのことをコラムのタイトルをもじって『之江新軍』と呼ばれています。読んでいなくても、習によって引き立てられている幹部たちをこう呼ぶのです。

 例えば習近平の浙江入り当時、省宣伝部長を務めていた陳敏爾です。貴州省長で第18回党大会(十八大)をスタートしたはずが、河北省トップの周本順の失脚で貴州省委書記の趙克志が後任となり、代理書記という形で省長と兼任しています。

 省長、市長はまず代理の形で就任し、しばらく経つと正式に省長、あるいは市長に任命するケースがあるのですが、代理書記は基本的に誰かが失脚しないと発生しません。

 過去20年で誕生した、主な代理書記をまとめてみました。 

 1995年:陳希同・北京市委書記→尉健行(政治局委員、中央紀律検査委員会書記)
 2006年:陳良宇・上海市委書記→韓正(中央委員、上海市長) 
 2012年:薄熙来・重慶市委書記→張徳江(政治局委員、国務院副総理)
 上記とは少し異なりますが、失脚した令計画の後任に天津市委書記だった孫春蘭が当てられ、代理書記を黄興国市長が兼任しています。これらの前例から、陳敏爾の政治局委員昇進は堅いと考えられます。

 代理書記を務めた3人は政治局委員なら常務委員、中央委員なら政治局委員といった具合に、いずれも党内でのポジションを上げています。

 失脚した書記だけが悪人などということはありえません。彼らの部下もその色に染まっている人間がいると考えて当然です。「影響力を一掃せよ」と幹部集会で呼びかけるのはそのためです。

 動揺を抑えつつ問題をこれ以上波及させないことが求められますから、中央の支持はあっても通常の書記よりもその責は重いでしょう。任に耐えうる信頼がなくてはなりません。その点で言えば、韓正や陳敏爾は相当信頼されていると言えます。

 この前例を抜きにしても、60年代生まれでは胡春華、孫政才といった次期総書記、総理の呼び声が高く、順調に昇進を重ねている2人に次いで、3人目となる省級の書記となります。

 周本順の失脚、趙克志の転出まで意図していたとはとても思えませんけど、出世街道に乗ってきたことは間違いありません。

 元気があれば後編もやるかもしれません。
タグ:習近平
posted by aquarelliste at 20:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

2015年09月20日

降級についてのまとめ

 中央紀律検査委員会を筆頭とする紀律検査機関の取り調べを受けた人間が、全て党籍はく奪、公職解任となる双開処分を受けるわけではありません。彼らは同時に公務員でもあり、行政処分といわれる処分も受けます。

 前編で公務員に対する処分を紹介しましたが、公職解任の次に重いのが、上記3人が受けた降級処分です。全ての職務がどの級に当たるかが定められていて、給与から引退後の待遇にまでに影響するのです。

 降級の話をする前に、公務員の級について説明しておく必要がありそうです。

 中国の公務員には全て級が定められています。

(1)国家級正職(1級) リカちゃん
国家主席、国務院総理、全国人代常務委委員長、全国政協主席、国家軍事委員会主席

(2)国家級副職(2から4級) 汪洋副総理、失脚前の令計画(全国政協副主席)
国務院副総理、国務委員、全国人代副委員長、全国政協副主席、最高人民法院院長、最高人民検察院検察長

(3)省部級正職(4から8級) 現在の王毅
部、委員会(それぞれ省、庁に相当)の部長、主任、各省、自治区、直轄市の省長、主席、市長、国営企業社長、最高人民法院副院長、最高人民検察院副検察長

(4)省部級副職(6から10級) 六者会談の議長やってた頃の王毅
国務院直属の部、委員会の副部長、副主任、各省、自治区、直轄市の副省長、副主席、副市長、副省級市の市長、人民代表大会主任、政協主席

(5)庁局級正職(8から13級) 外交部報道局の局長
国務院直属の部、委員会の司(局に相当)司長、各省、自治区、直轄市の庁、局の庁長、局長、地方人民代表大会主任、政協主席、本科大学の校長、地級行政区の市長、人民代表大会主任、政協主席

(6)庁局級副職(10から15級) 外交部報道局の副局長
国務院直属の部、委員会の副司長、直轄市の庁、局の副庁長、副局長、地方人民代表大会副主任、政協副主席、

(7)県処級正職(12から18級)

(8)県処級副職(14から20級)

(9)郷科級正職(16から22級)

(10)郷科級副職(24から27級)

 県処級以下にもちゃんとしたポストがあるんですが、とんでもなり情報量になってしまうので割愛しました。聞き覚えのない肩書きを出されても想像しづらいので、日本で知られている人たちを付記しておきました。

 中紀委の反腐敗運動では、副部級以上がトラ、それ以下がハエとなっていて、高級幹部といえば副部級以上を指します。後ほど待遇について説明しますが、副部級以上とそれ以下ではかなりの差があるのです。

 ただし、正職待遇を受けている副職もいます。その場合は肩書きの後ろにちゃんと書いてくれます。一般的には常務副省長や常務副部長などですね。

 では、張田欣・元雲南省昆明市委書記、趙智勇・元江西省委秘書長、付暁光・江亜布力旅行区開発指揮部副総指揮の3人を例にとり、降級処分について見てみましょう。

 張、趙の紀律違反内容は「職責を果たさず、また背任して国有資産に損失をもたらし、職務上の権限を利用して私利を貪った」でした。

 一方の付暁光は「大量の酒を飲んで車を運転し、1人を死亡、1人を負傷」させたにも関わらず、正局級への降級で済みました。ちなみに党籍ははく奪されず、1年間の党内観察という執行猶予と、大甘の処分となっています。

 降級処分を受けると、級ごとに定められている月収が減らされます。江西省の科員の月収は約2400元です。副部級の月収は約7000元なので、1/3程度に減額される計算ですね。

 副部級時代に受けていたさまざまな待遇も得られなくなります。

 1994年に公布された中共中央弁『党政府機関自動車配備と使用管理に関する規定』では、部長、省長級(閣僚級)に専用車1台があてがわれ、副部長、副省長級(副部級)には「業務用車両もしくは固定の車両が保証」されると規定されています。

 具体的な車両のクラスは2004年『中央国家機関工務用車両編成と配備標準の規定』に規定がある。部長級は3リットル以下、45万元以下の車両、副部長級は35万元以下となっています。専用車は取り上げられるのでしょうか。

 2001年に公布された『在北京中央・国家機関部級幹部住居制度改革の実施、意見』では、補助が与えられる住居の広さを細かく規定しています。下記の通り、副部級とそれ以下では大きな開きがあります。

 副部級以上とそれ以下では建物自体が別になるので、今まで住んでいたところを追い出され、かつて部下だった職員と同じ建物に住むという辱めを受けることになるのです。

科級未満 60㎡
科級 70㎡
副処級 80㎡
正処級 90㎡
副司局級 105㎡
正司局級 120㎡
副部級 190㎡
正部級 220㎡
 事務室についても、1999年の『党政府機関事務所建設の標準に関する通知』で、下記のように規定されています。

科級以下 6㎡
正処級 9㎡
正司局級 18㎡
副部級 42㎡
正部級 54㎡
 『副部級の医療保障水準を適切に向上させることに関する通知』では、副部級の人間にかかった医薬品の費用は全額清算で戻ってきますし、入院中は1日あたり400元が支給されます。降級処分はこれらの待遇を全て失うのです。

 降級処分期間は24ヶ月ですが、処分期間が終わっても従来の級や職務に戻るわけではありません。趙、張は今年59歳であり、来年公務員の定年を迎えます。引退時の級で引退後の待遇が決まるので、副部級の年金や福利厚生に加え、内部文書閲覧などの政治的待遇も受けられないことになるのです。

 ただし、例外はどこにでもあるものです。昨年亡くなった王軍は副省長止まりでしたが、習仲勲と仲が良かったからなのか、「省長級の医療待遇を受けていた」ことが訃報記事で明かされています。


==参考消息==
中華人民共和国主席令(2005/6/21)
中共中央、国務院「『中華人民共和国国務院法律』実施案」に関する通知(2006/4/9)
中華人民共和国国務院令(2007/4/22)
中国官僚の級図解(2013/3/18)
各級幹部の待遇整理 正部級住居は220㎡(新京報 2013/6/26)
王軍同志の告別式がハルピンで挙行(黒龍江日報 2014/11/24)
許愛民・江西省政協副主席が重大な紀律違反で免職、降級(新華社 2015/3/19)
第18回党大会以降の降級約100人 16例の降級(中国網 2015/5/18)
紀律違反の両副省級官僚が副処級と科員に降級(2015/7/17)
第18回党大会以降の紀律違反で省部級7人が処分 3人が党籍剥奪(人民網 2015/7/17)
公務員の級を解読 科員から正庁まで約25年(新文化報 2015/7/21)
タグ:メモ
posted by aquarelliste at 19:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

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