2015年08月23日

中央紀律委の巡視範囲が拡大

 8月3日に『中国共産党巡視工作条例』が出されました。21日付人民日報に王岐山が寄稿したことでその存在に気付いたのですが、これまでの条例と大きく異なる点を発見してしまったので、お知らせしておきます。

中共中央、『中国共産党巡視工作条例』を発表(新華社 2015/8/13)

 巡視は中央紀律検査委が省、自治区などの地方自治体や党中央直属部門、国務院の省庁に出張チームを送り込み、トラやハエを探し出すというもので、既に7回に渡って120近い部門に送り込まれています。

 これまでに中央紀律検査委の取調べを受けている副大臣級は70人強なのですが、40人近くの問題を巡視によって暴いたったとかなりの手ごたえを感じているようなのです。

 現在はインフラをはじめとする国営企業にその矛先が向いており、去年辺りから行く行く詐欺を繰り返していた宣伝部、組織部辺りへの党中枢部門への立ち入りも現実のものとなりそうです。

2015082301.JPG

 王岐山寄稿文では以下のように書かれています。
※署名入りとは珍しい

 党の第18回党大会以来、中央巡視組は、7回に渡って巡視を行い、118の地方(自治体)、部門、単位(企業、大学など)に対し巡視を行った。

 31の省、自治区、直轄市と新疆生産建設兵団、根幹となる国有企業55社全てへの巡視を実現し、また16の党中央部門、12の事業単位、1つの金融企業と2校の大学に巡視を行った。

 ここから予見できるのは、巡視の力とリズムは変わらぬ歩みを続けるということだ。党の第19回党大会までに、基本的には全てをカバーする。
  最新の物ではないのですが、「国有重点根幹企業53社」リストが見つかりました。

 宇宙開発、石油、航空、海運、通信、炭鉱、電力、食料及び一部支柱産業(建築)、ハイテク産業(情報技術が主)の重要根幹企業(金融業を除く)。

 この説明通りの企業が並んでおり、7月までに全社が巡視を受けています。裏を返せば、金融系や根幹ではない国有企業はまだ巡視が入っておらず、大学や病院などもまだと言っているにも等しいのです。

 三中全会で280以上のターゲットが決められたとあります。当時この発表があったか記憶にないのですが、こっそり決まっててこの寄稿文で明かされたということでしょうか。この数字が本当なら、まだ半分も終わっていないことになります。

 そこで、このたび出された条例が前回とどう異なるかを見てみましょう。

 旧条例では明確にされていなかった巡視の範囲が、新条例では明文化されています。王岐山寄稿文でも対象を明文化したことが強調されています。

 これまでの省、自治区、直轄市の党委員会だけではなく、政府、人代、政協と四大機構全てと、省都など15ある副省級市、また省、自治区、直轄氏が管理する国有企業もその範囲とされています。

 これまで地方の国有企業は地方の紀律検査委が巡視していましたが、これも中央が自ら乗り出し、地方自治体への巡視も終わりではなく副省級市へと舞台が移ることになります。

 要するに、巡視はその範囲を更に広げて次の党大会まで続くということです。これまでウチは大したことない、セーフセーフと安心していた部門や企業の中の人も焦りだすでしょう。
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2015年08月19日

事故調査委トップの連行

 昨日、天津市で起きた爆発事故の原因調査委員会として現地入りしていた、楊棟梁・国家安監局長が「重大な紀律違反容疑」で取り調べ中と報道されました。

 いつもなら楊と呼んでるんですが、今回ばかりは棟梁と呼ぶことにします。

楊棟梁・国家安全生産監督管理総局局長(新華社 2015/8/18)

 経歴を見ると、棟梁は1994年まで中国石油、そこから2012年までは天津市でキャリアを積んでおり、国有企業の管理、監督を担当する市国家資産監督管理委主任や、安全生産や港湾建設担当の副市長を経て常務副市長に昇格しています。

 この経歴だけでも、天津港と化学企業は棟梁の守備範囲だとわかるのですが、いつもは「現在取り調べ中」とクールに伝える中紀委公式が、わざわざ棟梁の経歴を添付してくれており、「答がここにある」雰囲気を出しまくってくれています。

 また、棟梁は第18期の中央委員でもあり、これで委員が失脚したのは6人目となります。蒋潔敏、李東生、楊金山、令計画、周本順と、そろいもそろって周永康に近かった人間ばかり。棟梁はどうなんでしょうか。

 棟梁のタイーホ直後から、「実は楊はね・・・」と過去の悪事報道が出てきてまして、スケープゴート感が半端じゃないのです。

 先日タイーホされた周本順も、北京まで会議に出張させておいて、会議後に連行されたのですが、たまたま事故処理の責任者だったが、送り込んでみたら思い切り関係者だったなどということがあるんでしょうか。

 天津爆発事故を全力で追っている新京報。そこの公式微信垢が、棟梁と天津の繋がりについて教えてくれています。

楊棟梁・安監総局局長の息子が天津で連行(新京報 2015/8/19)

 これによると、棟梁の息子である楊暉も天津への出張中に連行されたとのこと。連行前は中国海洋石油グループの思想政治部経理を務めています。

 また、棟梁は常務副市長時代の2011年に、中国海洋石油と契約を交わしており、ちょうどこの頃に息子が中国海洋石油に入社しているんだそうです。素晴らしい人間関係をお築きでいらっしゃいます。

 事故を起こした『瑞海国際物流』ですが、六四天安門事件まで天津市書記を務めた李瑞環の弟は、瑞海という名前だと伝えられています。仮にそうならばモロかぶりの企業名。

 棟梁は李瑞環が天津を去ってから天津入りしていて、習近平が全力で引き揚げている「かつての部下」と比べるとかかわりは薄いように思いますが、そこは天津一筋18年の間に何かあったのかもしれませんしね。

 棟梁が李の子飼いでその外堀に過ぎないのか、9月3日のパレードに李瑞環が元気な姿を見せてくれるかが楽しみになってきました。
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2015年08月14日

【天津大爆発】消火作業が爆発を誘発した可能性

 12日、天津市浜海新区で起きた倉庫の爆発事故は、13日18時の時点で消防隊員17人を含む死者50人、701人が入院という大規模なものとなりました。

 うち71人が重傷ではなく重症となっており、通常の爆発で受けた傷ではなく、何らかの化学薬品を体内に摂取したことを物語ります。

 日本のメディアで「重症」と書いてあるのを目にしたので、誤変換かなと思ったのですが、公式にも重症とありました。公式は薬品のことは書いていないのですが、そっち系の事故であると臭わせています。漢字っていいですね。

 というヨタはさて置いて、13日8時にうpされながら、あっという間に削除された南方週末の記事を紹介しておきます。

【天津倉庫爆発】消防隊員に水を使った消火不可が伝えられていなかった(南方週末 2015/8/13)

 12日午後10時50分、公安部消防局が受けた通報によると、有害化学物質の倉庫で火災が起き、消防は午後11時6分に現場に到着、午後11時30分ごろ、現場で爆発が起きた。

 事故現場にいち早くかけつけた新京報によれば、硝酸カリウム、硝酸ナトリウムなど、可燃性の高い物質が保管されており、爆発に繋がったと考えられます。

 「化学物質にはそれぞれ使用できる消火剤があり、我々はそれを学んでいる」と話すのは、北京市の消防隊員である王吉さん。

 「炭化カルシウムは水と反応するので、水を消火に使うことは出来ない。どの消火剤を使うかは指揮官が決定する」(王吉)。炭化カルシウムは水と反応すると可燃性ガスのアセチレンを発生させます。

 「指揮官は現場到着後、状況を十分に理解してから出ないと消火活動に入れない。事故発生時にも技術的なサポートがいるのが当然で、現場の人間を通じてしか現場の状況を把握できない」(王吉)。

 埋葬担当者からの情報として、42人の遺体を受け入れたとされる泰達医院。同医院で入院中の複数の消防隊員から、「駆けつけた当初爆発は起きていなかった。現場では誰も水に濡れてはいけない化学薬品があるとは教えてくれなかった」と、人災を臭わせるコメントが取れています。

 水を使った消火不可の通達が徹底されていなかったのではなく、通達そのものが無かったことがわかります。

 この消防隊員によると、コンテナに10分以上放水していると、破裂音が聞こえ、コンテナが光ったそうです。そこからは皆さんご存知のとおりです。

 南方週末の記事とほぼ同時刻にうpされた記事です。この記事では、消防隊員は「爆発に対して科学的な手順で処置した」と、雷進徳・宣伝処副処長がお墨付きを与えたことが紹介されています。

 ただし、「肯定」という単語を使いまくっています。「違いない」くらいの意味になりますし、現場にいたわけではないので100%根拠があったわけではありません。あと「肯定」を連発して使う人間は信用できませんね。

 記者「消防が出動した時、化学物質があったことを知っていたのでしょうか」
 雷進徳「そら知ってるやろ。そういう通報やったし」

 記者「最初に駆けつけた消防隊員は水で消火に入ったんですか」
 雷進徳「そらそうよ。まず冷やさんとな」

 記者「しかし、炭化カルシウムは水に触れると爆発しやすい気体を作りますが」
 雷進徳「ポイントはやな、炭化カルシウムがどの位置にあったかや。これは外部の人間は知らんわな。どこにあって、炭化カルシウムに火が着いてないんやったら、放水は必要無いわな。コンテナヤードは広いし、ワシらは中に炭化カルシウムがあることしか知らんかった。そやけど、炭化カルシウムが爆発してたか、火が着いてたか、その時は誰もはっきりせえへんかったんや。それは消防部隊がアホゆうわけやない。炭化カルシウムがあるのを知ってて、まだ水かけとったら、という意味やないで。水使ったのは間違いやとは絶対にゆわれへん」

 記者「爆発と消火活動には関連性が無いとおっしゃりたいのですか」
 雷進徳「無いな。処置は科学的やったはずや。消防特別勤務部隊も厳格に科学的な処置をやってるし、そういう訓練もやってる」
 oh...消火活動のまずさを否定しているつもりなんでしょうが、返ってやぶ蛇な感じになってます。都合によりどん語っぽくなってしまいました。

 現場の指揮官が未熟で、通常の手順を踏まずに消火活動に入った可能性が濃厚なのには変わらないと思うのですが、では未熟なのはなぜか。

 【ハルピン市火災で分かる公安のアホさ加減】でも言及しているのですが、中国の消防隊員は公安部や公安局の一部門であり、消防隊員は全て公安局や武装警察からの派遣です。

 彼らは2年の任期が終わると元の部署に戻ってしまうので、現場の人間は消火活動の経験が最大で2年という状況が続いているのです。指揮官はどうなのか。今回も「烈士」が追号されて終わってしまうのでしょうか。
タグ:天津市
posted by aquarelliste at 11:46| Comment(1) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

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