2015年04月28日

大使館付き武官の不用意な一言

 ネパールで25日に起きた大地震で、帰宅難民が発生した中国。帰国をめぐって何やら大使館と航空会社の間で小競り合いが起きていました。

9便がネパール到着、同胞を故郷へ 外交部領事局「現時点で無料搭乗を否定」(京華時報 2015/4/27)

 発端となったのは、帰国用のチケットが地震発生から高騰したことで、駐ネパール大使館の武官である劉暁光の不興を買い、「中国のパスポートを持った者は全員無料で搭乗できる」と発言したことによるもの。

 理由は後述しますが、多分これは劉武官が勢いで言ってしまったんだと思います。

 外交部は無料の話は聞いていないが、チケットが高ければ大使館と連絡を取ってほしいと、京華時報の取材に答えています。

三大航空会社、ネパール便の高騰否定 民航局、救出に対し手配(新華社 2015/4/27)

 中国国際、東方航空、南方航空は、チケット高騰の話を揃って否定。

 また中国国際航空の関係者は「発展改革委員会の規定に従ってチケットの値段を決めているので、勝手に値段は変えられない」と回答しています。

2015042801.jpg
※何故か削除されている件

 昨日記事を読んだ時点では、この後に「代理店が吊り上げてる可能性を排除しなかった」と続いて、代理店のせいにしていたんですが、削除されていますね。

ネパール大地震群像 陳光標が私費投入し救助へ(環球時報 2015/4/26)

 時系列的には先の2つの記事より前になるのですが、劉氏は大使の命を受けて「国難の時に国のイメージを壊す行為をやっている奴らを殴りたい気持ちだ」と武官らしい発言。

 ところが、「私の約束した無料での帰国」とも発言しており、航空会社が「そんな発言は嘘」と反論したことに、劉氏は憤慨しているのです。航空会社に確認を取らずに行った発言で、かえって混乱を招いているのではとも読める発言です。

 2011年3月に日本で起きた大地震後にも、中国へ帰国するチケットが高騰していますし、ネパールから中国への便も同じようになっていても不思議ではないのですが、この時は無料で帰れるなんて話は無かったはず。

 外交部が知らないと言っているので、たぶん劉武官の不用意な一言というところなんでしょう。

==追記==

 京華時報の記事をもう一度読み返してみましょう。

 "持中國護照全部免費登機",被理解滞留尼泊爾的中國公民可免費乘坐回國班機
 (中国のパスポートを持つものは全て無料で搭乗出来るという発言が、ネパールに滞在している中国国民は、無料で故郷への便に乗る事が出来ると理解された)

 前半の劉武官の発言に対して、後半の「理解された」の後の内容はほぼ同じ意味です。理解されたではなく、そう受け止められたと読んでいいと思います。

 となると、劉武官が元々言いたかったのは「一時的にチケット代は高騰しているが、席は必ずある」くらいだったのではないでしょうか。

 ただし、口から出たのは「中国のパスポートを持つものは全て無料で搭乗出来る」。本当は少し違うのかもしれませんが、言ってしまったものは仕方が無い。航空会社にゴリ押しして無料で帰国させるのかもしれません。

 航空会社の関係者と思われる垢が微博で見つかりましたので、航空会社の対応を見ておきましょう。

 航空会社はチケットを以下の順番で割り当てる。

 1:当日便のチケットを持っている
 2:当社の別の日のチケットを持っている場合、無料で日程を変えられる。ただし、[1]が優先
 3:他社のチケットを持っている場合、無料で日程を変えられる。ただし[1]が優先。
 4:チケットを持っていない、もしくは他社のチケットを持っている場合は、日程を変えるか新しくチケットを買いなおす。

 パスポート出しただけで飛行機乗れるとか思ってないよね。
 出すを意味する「拍」は、カウンターに「ビシッ」と音を出して叩きつけるくらいの感じなので、どこかの大使館が出したデマに惑わされて、自信満々にやるのは止めてね、という中の人の息遣いが聞こえてきそうです。
posted by aquarelliste at 13:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

2015年04月23日

安倍-習会見を中国メディアはどう扱ったか

 昨年11月に北京で開催されたAPEC以来、5か月ぶりに開かれた日中首脳会談。前回の扱いはこんな感じでした。




 午後7時からの常務委員動態をつたえる新聞聯播でも、8番目の扱いでした。人民日報と同じ順番ですね。2面には載っていないロシアは前日の10日付の1面に来ていました。会見が遅くて、10日の放送には間に合わなかったのでしょう。

 今回はどうか。

習近平、安倍晋三首相と会見(人民日報 2015/4/23)

2015042302.jpg2015042301.jpg
※左から1面,2面

 また国旗が背後にありませんね。ええ、2面です。ホスト国であるインドネシア、ミャンマーが1面です。

 同じく、22日の新聞聯播も同じ順番で、インドネシア、ミャンマーに続く5つ目でした。

 短い記事なので、全部訳してしまいましょう。

 「中日関係の大原則は、4つの政治的文書の精神を厳格に順守し、両国関係の正確な方向への発展を確保することである。昨年、双方が合意した4点の共通認識原則には、この思想が集中して体現されている。歴史問題は、中日関係、政治的基礎の重大な原則にかかわる問題である。日本が真剣にアジア隣国に気を遣い、歴史を正視するという積極的なシグナルを送ってほしい」と習近平は指摘した。

 「中日双方はお互いに積極的な政策を行なわなければならない。我々は日本と対話交流を強化させ、信頼を生んで疑いを解くことを増進させ、日中の第4の政治文件にある『互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない』という共通認識を、広範な社会的共通認識に転化させるよう努力する。

 双方は引き続き各領域での交流を展開し、両国人民の相互理解と認知を増進させなければならない。中国が建設を提案する『一帯一路』と、AIIBの設立の提案はすでに国際社会の普遍的な歓迎を得ている」と、習近平は強調した。

 「平和、発展、協力、WinWinは不可逆的な時代の潮流である。中国は断固平和発展の道から外れない。日本が中国と共に、平和発展の道を歩み、共に、国際的で、地域の平和、安定、繁栄にさらに大きな貢献をすることを希望する。双方の指導者はこのために尽くすべき責任を負わなければならない」と習近平は指摘した。

 「再び習近平主席とお会いできうれしい。私は日中関係の改善を十分に希望している。日中関係の発展は、両国人民と世界平和、発展に有益だ。

 私は日中両国の発展が、相互の脅威とならないことに完全に同意する。日本は、昨年合意した4点の原則共通認識を実行し、積極的に両国各領域の往来と対話を促進し、両国人民の相互理解を増進する。

 私と内閣は複数の場面で『村山談話』を含む、過去の政府が行った歴史問題における認識を継承する。この立場は変わらない。

 日本は平和発展の道を継続して歩むことを決心した。アジア地域がインフラ投資に対する巨大な需要があることを認識しており、この認識に基づいて、中国とAIIBに関する問題を詳しく討議したい」と安倍晋三は表明した。
 今まで気づかなかったのですが、習は一切「両国」という表現を使わないんですよね。日本は国と認められていないのかな。安倍は「両国」を使っています。なお、インドネシアやミャンマー首脳等の会見では、双方と両国の併用が見られます。

 APECの時もそうだったんですが、他の首脳との会見には、習のお供としていつも傍にいる王滬寧と栗戦書、外遊時のオプションである楊潔チ(外交担当の国務委員)3人が同席しているのに、安倍との会見では楊潔チのみです。

 レイアウトや地味な画などよりも、こういうところの扱いで差が付けられているところをもっと考察した方がいいんじゃないですかね、日本のマスコミ各社は。

 また、3人以外にも出席者はいるのですが、「等」でひとまとめ。外相の王毅も含まれてますので、日本のマスコミ各社におかれましては、中国の外相、というか、中国の閣僚はその程度の扱いであることを広く周知すべきです。

 肝心の内容ですが、安倍からは関係改善という単語は出るものの、習からは無し。日本側の報道と比べ、かなり伏せられている点が多いですね。
posted by aquarelliste at 11:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

2015年04月17日

【公判記念】周永康さん不完全年表

 周永康さんの公判が間近なので、関連年表を作ってみました。青は公式情報、赤はそれ以外の情報です。思い出したり、公判で新事実が明かされれば追加する予定です。

2011年11月14日
 ニール・ヘイウッドが死亡

2012年1月28日
 谷開来がヘイウッド殺害に関与していることを、王立軍が薄熙来に報告

2012年2月2日
 王立軍が公安局長を解任され、副市長専任

2012年2月6日
 王立軍が駐成都市米国総領事館に駆け込む

2012年2月8日
 重慶市入りし、政法会議主催

2012年3月14日
 温家宝が薄熙来を批判
2012/3/14 温家宝の薄熙来批判

2012年3月15日
 薄熙来が重慶市委書記を解任される
2012/3/15【速報】薄熙来解任

2012年3月18日
 フェラーリを運転していた令計画の長男が事故死。同乗の女性2人のうち1人に障害が残る。口止め料は蒋潔敏から支払われる

2012年3月22日
 上海市で開催された全国政法宣伝工作会議を欠席。文書にて「胡錦濤同志を総書記とする党中央の正確な指導下、政法、宣伝、両戦線の同志は団結、協力し、創造的な政法宣伝工作をしっかり行っている」とコメント

2012年4月3日
 胡錦濤ら常務委員と共に、北京市内で植樹イベントに参加

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2012年4月10日
 薄熙来が重大な紀律違反のため政治局委員、中央委員を解任
【速報】薄熙来終了のお知らせ

==副書記の孟建柱が実質的に政法委を仕切っているとの報道が流れる==

 2012年5月17日
 新疆ウイグル自治区を視察

 2012年5月31日
 對口支援新疆工作会議閉幕式で講和

2012年7月14日
 第7回全国信訪工作会議で講和

2012年11月8日
 新疆自治区代表団と会見、胡錦濤の報告に「完全に賛成」

2012年11月15日
 第18回党大会で中央委員に再選されず、引退

2012年11月19日
 政法委書記を解任される

2012年12月6日
 李春城が重大な紀律違反容疑で調査を受けていると報道

2013年2月17日
 中央指導部が古参同志を慰問。周永康もその中に名前があり、完全引退が確認される

==指導者クラスの葬儀を伝える報道の見出しに、不自然に名前が出るようになる==

2013年6月23日
 郭永祥・文聯主席が重大な紀律違反容疑で調査を受けていると報道

2013年7月2日
 4月29日に母校である蘇州中学を視察したことが、5月27日に中学公式で発表。香港・大公報が報じたのは更に1ヵ月後の7月2日
2013/7/3 周永康の現状
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2013年9月1日
 蒋潔敏・国有資産監督管理委主任が重大な紀律違反容疑で調査を受けていると報道

2013年9月18日
 6月23日に斉魯石化公司を訪問したことが伝えられる
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2013年9月30日
 建国64年記念式典が開かれる。周永康を含む、常務委員経験者の出席は確認出来ず。65周年は江沢民、胡錦濤らが出席と明言されている。

2013年10月1日
 母校の中国石油大学創立60周年式典の前日に訪問。式典当日には呉儀・元副総理が出席。伝えられた最後の動向
2013/10/9 結局周永康と薄熙来ってどういう関係なのよ
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2013年11月26日
 王承緒・元浙江省政協副主席逝去。葬儀関連で名前が出るのはこれが最後

2013年12月1日
 政治局常務委員会議で、紀律違反の調査が決定

2013年12月10日
 唐克・元石油工業部長の葬儀に参列せず
2013/12/14 周永康が恩師の葬式に出ていない

2014年1月7日
 中央政法工作会議で、習近平が「我々の政法隊伍の主流は素晴らしい」「政法隊伍は責任を負って健全ではない風潮に対するには、敢えて剣を見せて断固闘争し、成り行きに任せてはならない」と講話。政法部門に二派あるかのような内容
2014/2/9 一歩進んだ感はある周永康の最後はいつか

2014年7月29日
 重大な紀律違反問題で立件調査が報じられる。同志呼称なし
2014/7/29 【速報】ついに周永康が双規

2014年1月28日
中央指導部が古参同志を慰問。江沢民、胡錦濤以外の名前が出ず。周永康が調査対象となっていて、対象者一覧を公表すると周は載せられず、当時は公表するつもりはなかったと考えられるので、この措置になったと考えられる。

2014年12月6日
 党籍はく奪、司法機関に送検
2014/12/6周永康が党籍剥奪、タイーホ

2015年2月16日
中央指導部が古参同志を慰問。2013年同様、慰問を受けた古参同志の名前が出る

2015年4月3日
 天津市検察に起訴される
20154/3 天津市検察が周永康を起訴しました

2015年5月22日
 公判が始まる。一部犯罪の証拠が国家機密に関るため非公開

2015年6月11日
 収賄、職権乱用、機密漏洩などで無期懲役判決。控訴しないため、判決が確定。
2015/6/11 【速報】周永康に無期懲役の一審判決、上告せず
タグ:周永康
posted by aquarelliste at 11:03| Comment(2) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

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