2015年03月27日

地方の政協会議がゴタゴタになった理由

 2月10日午後に開かれた、成都市金牛区政協会議の騒動が話題を呼んでいます。ちょっと長いですがお付き合いください。

成都市金牛区政協会議閉会式裏の事情(長江商報 2015/3/22)

 第6期4回政協会議閉会式で、大会の進行役である申勇副主席(統一戦線部長兼任)が「金牛区における李春城の影響を一層」との一文を入れるよう要求したところ、他の指導者の不興を買い、閉会式は休会。

 その後制服組、私服の警官がドッと押し寄せて記者たちから会議の様子を録画したデータを没収、申副主席も人身の自由を奪われた、というものです。

 李春城について紹介しておきますと、周永康周辺失脚劇の鏑矢というだけでなく、第18回党大会以降初となる「反腐敗」の犠牲者であります。党大会直後の2012年12月に紀律違反容疑を受け、目下検察が刑事裁判を提起中であります。

 申副主席は「李春城が区の業務に干渉し、劣悪な影響を受けた」と認識しており、また李を通報したことでも知られ、10日午後から開かれた政協常務委員会議で、決議の草案に「金牛区における李春城の影響を一層」の一文を入れるよう求めたところ、会議の進行役である李凱威・政協主席が反対。

 表決を取ったところ、申副主席以外は草案に修正を加えない方に賛成し、申副主席は「党組の討論を経ていない」として抗議しました。

 大会の閉幕式では申副主席が「李春城の長期にわたる金牛区への干渉で劣悪な影響が起きた。政協委員全体は、李春城が残した毒について積極的に政策や政府の活動に意見を出し、提案を行う」よう求め、挙手による表決を取ったところ、李主席以外は挙手したとのこと。

2015032701.jpg
※申勇提供の現場写真と思われ

 そのあとに続いた劉・区委書記が「議題になかったので表決は無効」として、休会を宣言。すると申副主席を除いて全員が退席。するとまもなく警官が10数名会場に入ると、会場にいた統一戦線部員を拘束。

 これをに目した政協委員はこぞって非難し、警官隊を率いる賈という男を叱責し、拘束された統戦部員2人を解放させました。申副主席は以前成都市公安局金牛区分局の局長で顔見知りだったことから、出来た芸当なのでしょう。

 ところが、すぐさま私服警官が再度会場に入り、別の統戦部員2人や記者たちが拘束され、申副書記も事務室に監禁状態となりました。監禁中は携帯も圏外になっていたのですが、室内に持ち込まれだ何らかの装置が電波を遮断していた元思われます。

 その後、汚職と政協会議の責任問題について紀律検査部門の取り調べが通告され、16日に通院の申し入れが通るまで事務所で寝泊まりを余儀なくされています。

 政協会議の大荒れについては、出席した委員に「大局を考え、紀律を守り、団結を重視する」観点から外部に漏らさないよう、またイメージダウンを避けるため記者の取材に応じないよう要求があったようです。

 ここまでは申副主席がネットで公表したものと、長江商報に語った内容になります。

 これに対し、成都市が反論。

成都市公式が『政協会議場に警察が入り、記者、副主席が人身の自由を奪われる』に反論(中国新聞網 2015/3/25)

1:金牛区の反腐敗に対する態度は鮮明であり、断固とした立場である
2:申勇は計画的に閉会式で問題を起こした。
3:申勇は計画的に偽記者を組織し、録音、録画した
4:申勇は人身の自由を奪われていない
5:申勇の実際の地位状況
 2と3の両方で「計画的」と訳していますが、原語だと3は「預謀」を使っていますし、2の問題を起こすも「發難」と、実際にはもっとしい訳になります。それぞれ犯罪の計画、蜂起くらいになるでしょうか。

 記者は申副主席が会議の許可無しに呼んだ統戦部員の仮装で、彼らが録画、録音した動画や音声を国内外にばらまいて事実をゆがめたと批難。

 その上で、申勇は2000年以降警官ではないにもかかわらず制服を着用し、「人民警察申勇」名義で情報発信をしていた。これは『人民警察法』の関連規定に違反する可能性がある。また、申勇は3度結婚し3人子供を設けており、国家計画生育政策に違反しており、関連部門が調査中と、予想外の反撃を食らっています。

 政協委員には「団結せよ」と要求しており、公式反論の4にも「非組織的で誤った言論」という一文がありますから、申勇の予定に無かった動議に、ヒラの政協委員のみならず、常務委員会議では反対したはずの常務委員の殆どがなびいたのがマズかったのでしょうか。

 ネタが周永康関連なので、反腐敗に消極的な姿勢は見せられない、しかし党内の分裂はもっと見せられない、という論理から、これまで見逃されていた申勇の瑕疵を全力で叩かせているのではないでしょうか。
ラベル:周永康 李春城
posted by aquarelliste at 12:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

2015年03月23日

周永康の「非組織的活動」

 3月18日に最高人民法院が出した、『人民法院工作年度報告』、いわゆる白書について。

周強「権力の運用、監督を強化し、全面的に司法体制を深く改革せよ」(中国紀律検査観察報)

 法院(法廷)は紀律教育と廉潔な司法教育の厳守を強化し、公安幹部、警察官は周永康、薄熙来らが法治を踏みにじり、党の団結を破壊し、非組織的政治活動の重大な危害をしっかりと認識するよう十分教育し、徹底的に周永康の重大な紀律違反、法律違反が法院にもたらした劣悪な影響を徹底的に一掃し、公安幹部、警察官は原則的な是非の問題において、立場を断固たるものにし、旗幟を鮮明にしなければならない。
 周永康の処分が党内で決まってまもなく開かれた、中央政法工作会議を報じた人民日報の記事では、「二股をかけてはならない」、「政法隊伍の主流は素晴らしい」と、政法内部に二派が存在することがほのめかされていました。

 今回の白書でも、依然として5年の長きにわたって政法部門のトップを務めていた、周永康の影響力がなかなか一掃できていないことが露わになっています。

 一掃できていれば一掃できたと勝利宣言するでしょうから、党内向けにはもちろんですが外部にも正直に告白しているのがいつも笑えます。
2014/2/8一歩進んだ感はある周永康の最後はいつか

 「非組織的政治活動」というフレーズはこれまで出てきたことが無いので、具体的にどういった活動を指すのか不明です。

 不明なのですが、「非組織的活動」については、習近平が今年1月の中紀委第5回会議で「組織の決定には必ず服従し、組織的でない活動をやることを決して許さない」とお怒りでした。さらに一歩進んだ段階が「非組織的政治活動」ではないかと推測されます。

周永康、薄熙来非組織的政治活動を行う(北京青年報 2015/3/19)

 中国共産党紀律処分条例によると、党内で非組織的活動を行い、党の団結統一を破壊する者は、最高で党籍剥奪処分となるのですが、周、薄の2人はこれに該当したため党籍はく奪処分を受けた「ではと見られています。

 もちろん罪状が大杉なので、「非組織的政治活動」で一発アウトとはいえないのですが、青年報の取材に答えた北京大学清廉政治建設研究中心の庄徳水副主任は非組織的政治活動に「政治的野心を持った者が参加していた可能性」を示唆しています。奪権運動と言い換えてもいいでしょう。

 また、中央党校の張希賢教授からは「非組織的政治活動は、党組織の政治的方向に背き、更には党の方針、路線、政策に違反した政治活動を意味する。反党、党に背く趣旨が基本的属性」と物騒な単語も飛び出しました。

 前回、反党呼ばわりされたのは趙紫陽でしたから、天安門事件級の分裂が党内にあったと見ていいでしょう。

 薄熙来は判決が既に出ているのに名前が出されている辺りから、「非組織的政治活動」の中心となっていたのでしょうが、「組織人事紀律に違反し、人材登用で誤りを犯した」だった容疑を見る限り、まだ結論の出ていない周永康が何をやったら反党呼ばわりされるのか興味津々であります。

 そういえば、死刑囚の臓器を売りさばいてた容疑も、サラッと追加されていましたね。いやあ、大悪人じゃないですか。
ラベル:薄熙来 周永康
posted by aquarelliste at 22:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

2015年03月16日

徐才厚が癌で死去。もう1人の軍事委副主席は

 15日、胡錦濤時代の2004年から12年まで、制服組のトップたる中央軍事委員会副主席を務め、引退後の2014年6月に汚職などの容疑で党籍をはく奪され、軍事検察院によって起訴の手続き中だった徐才厚が、かねてから患っていた膀胱がんの悪化による多機能不全で死亡したことが伝えられました。

徐才厚、がん悪化で治療の効果なく死亡(新華社 2015/3/16)

 「犯罪の事実ははっきりとしており、証拠は確実かつ十分で、刑事責任を追及するに当然である」、とまで言い切っているので、被告が死亡しても事実の究明には影響はなさそうです。

 なお、刑事訴追法第15条により、軍事検察院は不起訴処分を決定、犯罪については法に基づいて処理を進めるとしていますが、解放軍内部の検察もちゃんと中華人民共和国の法律に従うのねと妙に納得してしまいました。
 
 胡錦濤の軍掌握を妨害するため、江沢民が送り込んだのは徐だけではありません。もう1人の中軍委副主席はどうなのでしょうか。 

楊春長少将、徐才厚の売官内幕を暴露「大軍区司令員なら2000万元」(中国青年報 2015/3/10)

 徐才厚が軍内でポストを売りまくっていたことを、見てきたことのように熱っぽく語る退役少将3人。率先して話す楊春長氏と記者とのやり取りに気になる部分があるのです。

 楊「その後、徐才厚、彼らが事を起こした後、周辺の人間は『彼らの権力はあまりにも大きかった。大軍区の司令になろうと、ある者が1000万元出しても、別の人間が2000万元出していればダメだった』」

 通常なら「徐才厚ら(原文なら徐才厚等)」と表現すべきところを、彼らとしています。これだけでは楊の言い方がそうなっているだけなのかもしれませんが、次に続く発言を見れば口癖ではないと考えられます。

 記者「軍は彼らの家と等しいと?」

 楊「そうだ。彼らの家になってしまっていたし、当時の軍委指導者を有名無実なものにしていた(後略)」
 徐が副主席時代の軍委指導者と言えば、当然胡錦濤を意味します。胡錦濤をスルーして徐ともう1人の副主席である郭伯雄が、胡錦濤をないがしろにされていたのはもはや公然の秘密でした。

 退役したにぎやかしとは言え、軍関係者から胡錦濤が甲斐性無しである事実が暴露されたわけです。これは2人を送り込んだ江沢民まで及ぶのか、とワクワクしてしまいます。

 徐だけで大規模な売官を行いながら、郭は知りませんでしたという話が通るはずもなく。

 郭の息子が父親に先んじて取り調べを受けているのも、徐や周永康と同じく周りから攻めていく手法ですから、「彼ら」が徐や谷俊山だけではなく、郭を含んでいると見るのが妥当です。郭自身の取り調べもほぼ確定と言っていいでしょう。
posted by aquarelliste at 11:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。