2015年01月27日

ニセ銀行にはあっさり騙される中国人

 通常の利息に加えて年利15%から18%を上乗せした金利という、冷静に考えればありえない高額の利息で200人あまりから2億元近くを集めた、ニセ銀行の代表ら関係者8人が逮捕されました。

国営銀行に似せた南京市ニセ合作社が、200人あまりから2億元を騙し取る(観察者網 2015/1/23)

 銀行、と言っていいのかわかりませんが、『南京盟信農村經濟信息專業合作社』は南京市内に銀行らしい内装を施し、職員役には制服を着せ、どこから見ても銀行にしか見えない店舗を構え、2014年から預金を集め始めたようです。

 被害者の大部分は浙江省の企業で、地元南京市の被害者は少なかったとのこと。そのため預金額も高額になっており、被害額は10万元から2000万元。

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※そんな高利回りが可能な店構えには見えないが

 昨年5月に人から紹介された王華勇さんは、遊ばせていた1200万元を預金。国営銀行と同程度の利息に加え、週当たり2%近い金利が上乗せされるという、どう考えてもうそ臭い話に乗ってしまいました。

 百戦錬磨の経営者も、放置していても毎週20万元が入ってくるのに目が眩んだのか、あっさりと乗ってしまうんですね。

 4週続けて利息を受け取った後、音沙汰がなくなったため、浙江省から南京市にある店舗まで出向いたものの、元金すら下ろせなくなっており、騙されたと気付いた王さん。ここで警察に駆け込み、同行が許可なしのニセ銀行だと判明。

 金利にも引かれたのでしょうが、仲介役となった人間がどうも同一人物だった模様。信用もあったのでしょう。

 なお、一年前、市民の通報で、ニセ銀行のあった区の工商局は公安などと合同で調査を行い、違法に預金を騙し取っていると結論付けたものの、工商部門の仕事ではないと放置していたようです。

 『農村經濟信息專業合作社』名義のニセ銀行事件は、2011年に江蘇省射陽市、2013年に同じく江蘇省鎮江市と山東省恵民市、2014年に河北省平山市とここ数年連続して起きているのです。

 『農村經濟信息專業合作社』は基本的には金融関連のアドバイスだけで、金融取引の許可は出来ないのですが、騙されやすい何かがあるのでしょうか。
ラベル:山寨
posted by aquarelliste at 22:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

上海外灘雑踏事故の報告を読んだ

 21日、昨年12月31日に上海市で開催されたカウントダウンイベントに集まった群衆がドミノ倒しになり、36人が死亡した事故について、常務副市長をトップとする調査チームが報告を出しました。

 遅い遅いと非難されている報告から6日、私も遅いと知りつつ内容を読み終えたので感想文を披露したいと思います。

上海市、外灘雑踏事件の調査報告を発表(新華社 2015/1/21)

 報告は、事故の原因にイベントの開催場所が昨年までの外灘から外灘源に変更となったことを、十分に知らせなかったためとしています。

 イベント開催自体はマスコミが数日前から取り上げていましたが、市側の発表はイベント前日の30日になってからで、ほぼ意味を成していませんでした。

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 いや正直、この地図を出して位置関係が把握できる中国人がいるのかといえば疑問です。

 しかも、犠牲者の出身地は完全には明かされていませんが、漏れ伝わってくる部分だけでも上海市民以外ばかり。そうでなくともこの手のイベントに集まるのはおのぼりさんが多く、よそ者である彼らには一字違いである両者の区別はつかないでしょう。

 であれば、開催地点の変更で気を抜かず、昨年までの外灘にも相応の警備を置いて誘導するか、いっそのこと立ち入り禁止にすべきだったのですが、警備を担当した黄浦区の公安分局はどちらも怠り、当日リアルタイムで挙がってくる報告にも適切な対応が取れていなかったと結論付けています。

 なにせ、事故発生30分前の午後11時の時点で、微博公式だか公式サイトに「混んでるので来ないでください」とアナウンスしたという、完璧な対応をしているくらいですからね。
 
上海市、外灘雑踏事件の責任者処理状況を発表(新華社 2015/1/21)
上海市紀委、黄浦区一部幹部の中央八項規定精神違反問題についての処理状況を通報(新華社 2015/1/21)
上海市、黄浦区一部幹部の外灘付近での食事調査結果を発表(新華社 2015/1/21)

 調査チームと市の紀律検査委から、それぞれ責任者の処分が発表されました。

 調査チームの報告では、黄浦区トップの書記、市長が職務を解任されています。観光担当の副区長を加えた3人の「罪状」には、24時間いつでも夜勤の責任者に連絡が繋がるよう求めた中央弁、国務院弁連名の通達内容を行ったことが挙げられています。

 これは新京報や中国青年報が報じた、事故現場付近の高級日本料理店での飲み食いが含まれているのでしょうか。それにしても、他地区の落ち度はこれでもかと言わんばかりに責めますね。

 当初の説明では、区に所属する国営企業で開かれた宴席で、区の主だった指導部連中が飲み食いしたものの、事故の連絡を受けてすぐ現場に向かったとされていましたが、「罪状」として挙げられているわけで、初動が遅れたとも読めます。

 上海市紀律委は中央八項規定に違反したとして、当日宴席に出席していた幹部を処分。処分対象に含まれていない公安局長は、酒の席には呼ばれていなかったのでしょうが、この件で事故対応のお粗末さが霞んでしまった感じがあります。

 書記、区長に対する2トッは、調査チーム、紀律委双方から解任処分を発表されているわけですが、合わせ技で一本なのか、それとも一発アウトなのかが不明です。
 
 旧正月が1か月後に迫り、安全面を考慮して開催中止が決まったイベントもありましたが、依然として市内で24のイベントが予定されています。どうやって再発を防ぐのか。

 何もないにこしたことはないのですが、大人しく中止にした豫遠が正しかったみたいな結末は見たくないですね。単に力技で封じ込めるという手が使えないのがデモと異なる点で、雑踏警備の経験値が無いのに、1か月でレベルアップというのは無理筋なのではと思います。

 報告と併せて開かれた記者会見では頑張るみたいなことしか言えていないのが気がかりです。
 

 1つ気になる点がありまして、この手の事故なら出てしかるべき、国家主席たる習近平のお悔みがありませんでした。

 上海市指導部や各国の指導者クラスは哀悼の意を表明しているのですが、単に上海の失態が引き起こした事故ですから、あまり大っぴらに国内を追悼ムード一色にしたくないという意向があるのかもしれません。
ラベル:上海市 雑踏事故
posted by aquarelliste at 14:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

2015年01月18日

環球社説に不覚にも期待してしまう

 環球時報はゲス速報の側面を持ちつつ、「敏感な問題」に大して他紙が出さない見解を堂々と開陳し、何のお咎めも食らわないので、私は共産党の準機関紙と勝手に位置づけています。

 今年はちょうど趙紫陽逝去10年。環球時報が、というか中国メディアでは珍しく趙紫陽の名前を出しまくった社説を出しています。

 趙紫陽同志は、地方において県委、地委、省委の主要な指導的職務を担当し、改革開放前期には趙紫陽同志は中央と国家の重要な指導的職務を担当し、党と人民の事業のために有益な貢献をした。

 1989年の春から夏に起きた政治的風波で趙紫陽同志は誤りを犯した。


 これは葬儀記事で出された、趙紫陽に対する評価です。

 総書記を解任された第13期四中全会では、経済対策でもう少し踏み込んで評価されているものの、「党と国家が生死存亡の重要な時に、動乱を支持し、党を分裂させた」とかなり厳しく断罪されています。

 外交部は逝去直後に「結論は出ている。この15年の成長が我々の選択が正確だと証明」とか何とか言ってたと思いますが、この10年、趙紫陽に対する評価に変化はありませんでした。

社説「一部の人と出来事に対する公式の沈黙も態度だ」(環球時報 2014/1/18)

 昨秋、生誕110周年を迎えた鄧小平の記念ドラマ『歴史転換期の鄧小平』(歷史轉折中的鄧小平)が放送されました。

 1976年10月の四人組逮捕から1984年に挙行された建国35周年の閲兵式までという微妙な舞台設定で、明らかにこの後の天安門事件を避けているのが丸分かりでした。

 公式で評価されている時期の胡耀邦、そして趙紫陽が出てくるのでは、特に趙紫陽はこの手の偉人ドラマ初の登場であり、趙役も存在するとの情報もあり、どの程度ストーリーに関係してくるのか、それによって党中央の扱いがわかるのではと趙紫陽の登場を待っていました。

 なんと45話あるドラマの44話まで待たされました。このドラマは初登場時に名前と当時の肩書きが出る仕様になっていまして、例えば第1話の華国鋒だとこんな具合。

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※ピーク時の華国鋒さん

 ところが、趙紫陽と思しき方はこの扱い。第十二回党大会でチラッと出てきて、演説に拍手するだけという役割です。

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※誰これ状態の趙紫陽

 これが2014年時点での、党中央の趙紫陽に対する公式の評価なのでしょう。ドラマが公式見解に準じるものであると認めたのも初かと。

 同ドラマには華国鋒、胡耀邦、趙紫陽と3人の総書記経験者が出てきます。

 華国鋒は四人組逮捕と最高にかっこいいシーンが第1話で扱われ、胡耀邦は鄧小平の右腕として描かれるのに対し、趙紫陽はまだ名前が出せない。

 環球時報は「失脚から25年、趙紫陽問題について語るのを避けてきたが、沈黙も一種の態度表明」であると指摘し、公式評価に変化は無いことを示唆しています。

 また、「最も敏感な問題については『争わない』方針を取ってきた」と、沈黙の理由を明かしました。

 一方で「行動と成果をこの種の疑問に対する回答としてきた」、「25年来、中国は趙と彼のブレーンたちが、重大な時期に反対した政治路線と哲学に基づいて、世界第二の経済体となった」と、公式評価と同じく趙紫陽に対して非難めいたこともやっています。

 ただ、鄧小平ドラマで華国鋒が良い扱いをされていたのは、「時間が経過したから」とも説明しており、今後の可能性に含みを持たせました。

 党中央は2015年の重要な記念日の1つに、胡耀邦生誕100周年を挙げています。再評価の兆しはあったのですが、ついに遵義会議と肩を並べるところまで復活してきました。

 相反して、趙紫陽の命日は彼の住んでいた家に弔問客が訪れ、公安がそれを見張る状況が10年続いています。ただ、評価はいつかは変わるもの。趙紫陽の扱いも、いつかは変わるのかも、と期待を持たせる環球時報の社説でした。

==参考消息==

 放送当時、@mihokohk先生がリアルタイムでツイートされていたのををまとめていましたので、大まかなあらすじは下記をご参照ください。

ドラマ「歴史転換期の鄧小平」あらすじ
ドラマ「歴史転換期の鄧小平」あらすじ2
ラベル:環球時報 趙紫陽
posted by aquarelliste at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

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